妊娠後に通っている産婦人科や産院、実は「先生と合わない」「評判が悪かった」など、行ってみて初めてわかることがあります。
病院の評判などは、インターネットや口コミなどで事前に調べられますが、先生との相性はいざ通ってみないとわからないものです。
評判が良くても、病院の雰囲気や先生との相性で自分とは合わないということもあり得る話です。
そこで今回は、
・妊娠中期に病院は変更できる?
・転院するとしたら紹介状はあったほうがいいの?
・里帰り出産する時の注意点とは?
といった方に、妊娠中期に転院はできるのか、また転院した時の手続きや、失敗しないための産院選びのポイントについて詳しくご紹介します。
この記事の目次
転院したいと思うけど、こんな理由ではダメ?
転院したいと思うには何かしらの理由があります。「小さい病院なので必要な設備がなかった」などのハッキリとした理由があるケースから、「個人的な理由」まで、さまざまだです。
しかし、設備がないなど病院側の都合であれば、転院は必要不可欠なので、その場合には、先生から別の病院を紹介されます。
ですので、妊婦さんが転院を考える理由で一番多いのは、担当する先生との相性ではないでしょうか。先生が厳しいことばかり言うので、ストレスが溜まるということもあります。
また、先生が大らかすぎて、こちらの心配を余所に詳しい指示をくれない、ということもあります。
こればかりはその先生の性格や考え方なので、相性が合わないと感じるのであれば、やはり病院を変えるしかありません。
他にも、病院の雰囲気が合わないという場合もあります。雰囲気というのは漠然としたものですが、そこにはいろいろな理由があります。
看護師や病院スタッフの対応が良くなかったり、待合室など施設の雰囲気が派手すぎる・清潔感がない・印象が暗いなど、気分を左右するという理由があるかもしれません。
いずれにしても、病院を決めるのは妊婦さんなので、どのような理由であっても「合わない」と感じるのであれば、無理して通い続けず、思い切って転院してしまう方がストレスにならないでしょう。
転院するときには何が必要?
産婦人科や産院を変えるときに必要なものは、特にはありません。しかし、今通っている病院からの「紹介状」があれば、新しく通う病院での初診料が優遇されるため、初回の診察費用が安くなります。
ただし、その紹介状を発行してもらうには費用がかかります。病院によって費用は違いますが、だいたい2,000円〜3,000円ほどであることが一般的です。
紹介状がなければ、新しく通う病院でも初診料がかかるので、初回の費用が高くなります。初診料も病院によって異なりますが、個人病院ではだいたい3,000円程度、総合病院で5,000円程度のところが多いです。
紹介状持参の場合と持参しない場合の差額が、それほど大きいとはいえませんが、気になる方はそれぞれの病院で問い合わせしてみましょう。
転院先が大きな総合病院で、後から「紹介状があった方が良かった・・・」となるケースもあります。
紹介状をもらうためにはどうしたら良い?
転院するために紹介状をもらいたい場合には、担当している先生に転院したい旨を話して「紹介状を書いてください」と伝えます。
ここで問題になりがちなのが、転院したいと申し出るタイミングによっては、先生からその理由を尋ねられることです。
妊娠初期であれば、本当の転院理由が「先生との相性」であったとしても、「里帰り出産」や「出産まで実家に帰るため、そこから近い方が良い」などの理由がつけられるため、紹介状も書いてもらいやすいです。
しかし、妊娠中期〜後期になると、妊娠初期の頃から赤ちゃんの経過を見ているので、詳細なカルテもできています。さらに妊婦さんの状態も把握できているため、転院するメリットがありません。
もし病気などのトラブルがある場合には、転院することで、そのための治療や経過を追えなくなってしまい、病院側からすると「なぜ?」となってしまいます。
思っているままに理由を言ってしまっても紹介状は書いてもらえますが、「先生と合わないから」と正直に伝えるのは、やはり気まずいでしょう。
紹介状は必ずしも必要なものではありませんので、何も言わずに病院を変える自体問題はありませんが、紹介状をもらう予定であれば、先生から理由を尋ねられることも想定しておくと、心の負担が少し軽くなります。
妊娠中期であれば、産休に入らずまだ働いていることもあるので、「職場から近い産婦人科に変更したい」「土日も診療している病院に移りたい」などの理由が妥当です。
高齢出産の場合には、「検査設備のある大きな産婦人科へ転院したい」「年齢的なことで心配があるので、大きな病院へ移りたい」などの理由であれば、当たり障りがありません。
もちろん病院を選ぶ権利は妊婦さんにあるので、あまり気にする必要もないのですが、転院のために余計なストレスは溜め込まないようにしましょう。
転院先に持参すると良いもの
転院の際には、紹介状の他に妊娠初期に受けた血液検査や子宮癌検診の結果があれば持参します。
これらの検査結果を持って行かない場合、初診でデータがないため、転院先でもう一度検査をすることになります。
同じ検査を二度するのは体にも負担がかかり、費用も二回分かかってしまいます。
スムーズな転院のためには、今までの病院で受けた検査の結果票などはすべて持参して、転院後すぐに先生が母子の状態を把握できるようにしましょう。
転院先の病院に確認しておくべきこと
いざ転院すると決めても、簡単に転院できない場合もあります。
転院先の予約状況や空き状況
評判の良い病院は人気が高いです。そのため、出産予約が取れない可能性もあります。
妊娠初期の転院であれば、出産時期に予約が取れるかもしれませんが、妊娠中期〜後期では予約がいっぱいで空きがない場合もあります。
病院によっては、妊娠検査薬が陽性の段階で申し込みをしなければ、入れないところもありますので、病院を変える前に必ず予約ができるかどうか確認しておきましょう。
転院したいと申し出てから「新しい病院に断られた」ということなると、出産できる病院がなくなってしまいます。
また、専門設備の備わった大きな有名な産婦人科では、紹介状が必須というケースもあります。
今の病院の担当医に転院を話しにくいと思っていても、転院先が紹介状なしでは受付不可の場合もあります。事前に転院先の情報を集めて、わからないことがあれば必ず確認しておきましょう。
転院しないための病院選びのポイント
「合わない」と思えば転院すれば良いですが、できれば転院することなく通えるのがベストです。病院を新しく探すにも少なからず手間がかかります。
さらに、妊娠中はただでさえ精神的に不安定なのに、転院希望の病院がどこも予約が取れず断り続けられたりすると「このまま転院できず、出産できなかったどうしよう」と余計に不安を抱えることになります。
そのためには通院が始まる前から、良い産婦人科や産院を選び、不要な転院を避けるようにしましょう。
距離だけで選ばない
妊娠検査薬で陽性反応が出た場合、かかりつけの産婦人科があればその病院に行くことが多いですが、かかりつけがなければ、まずは自宅から近い産婦人科に行く人がほとんどです。
しかし、住宅街のクリニックや小さい産婦人科では分娩を行っていない病院も多くあります。設備や施設によっては妊娠初期までの検査しか行えず、結果的に「転院するしかない」という可能性もあります。
そうすると、つわりの時期に新しい病院を探さなければいけないことになり、精神的な負担も大きくなってしまいます。
「近い」というのは、妊娠中に何かあったときすぐに出向けるというメリットもありますが、分娩できるかどうか出産までの流れを考えて、距離だけで選ぶことのないようにしましょう。
里帰り出産ができるか
最近では実家に帰らずに出産する人も増えてきましたが、出産後の体力回復までや家事・育児の負担を軽減でき、親からアドバイスももらえて、安心感もあるため、里帰り出産は妊婦さんにとって、ストレスの少ない方法です。
しかし、里帰り出産を希望している場合には、妊婦検診を受け付けしてくれない産婦人科もあります。
その病院で分娩するという条件などを設けている病院もありますので、里帰り出産を考えている人は、予約前に病院に伝えておく方が無難です。
出産までに費用がいくらかかるか
出産までには、検査費用・入院費用・分娩費用などお産にはいくつか、費用のかかるポイントがあります。産婦人科や産院によってはこの費用が数千円ではありますが、若干異なります。
検査費用などは大きく違わないかもしれませんが、入院費用などは病院によって異なります。出産費用自体、決して少ない金額ではありません。
通いたい病院はいくつかピックアップして、どのくらい費用がかかるのか比較しておきましょう。一つ一つの差額は数千円でも、積もれば大きな金額になります。
希望する出産スタイルがあるか
最近は出産のスタイルもさまざまです。ソフロロジー式分娩、無痛分娩、アクティブバースなど、分娩スタイルは一つではなく選べるようになってきています。聞きなれない言葉もあるかもしれませんのでご説明します。
ソフロロジー式分娩
ソフロロジー式とは「出産を生命の誕生から始まる育児の1つの過程」と考える分娩スタイルです。出産には痛みが伴いますが、出産の痛みの一つである陣痛も「育児の過程」であると考えます。
出産の痛みや苦痛をネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに考えることで、出産に対する恐怖などを取り除き、リラックスして出産に臨めるとされています。
無痛分娩
麻酔を使用することで分娩時の痛みを軽減する出産方法です。
アクティブバース
医療器機を使用しない出産方法です。出産姿勢も自由で、一番楽な姿勢を取って構いません。リラックスした状態で分娩をするという、妊婦さんを最大限尊重した出産方法です。
ここに紹介した出産スタイルは一部で、他にも出産スタイルは、その考え方によってさまざまな方法があります。もし、希望する出産スタイルがある場合には産院の方針を確認しておきましょう。出産間近になって、意見が通らないということがあれば、出産に対する不安が高まる可能性もあります。
立会い出産、お産撮影などができるか
将来子供の思い出になるように、出産の瞬間を記録に残したい、旦那さんには出産に立ちあってほしい、などの希望があるかもしれませんが、それらの希望がすべての病院で叶うとは限りません。
分娩室の広さや衛生面などから立会い出産を禁止している病院も多くあります。最近では立会い出産で、一緒に産声を録音したり、出産を撮影したりと記録として残したいという妊婦さんも増えています。
しかし、立会い出産はできても撮影はできないと断られたり、撮影まではできても録音はできないなど、病院によって許可範囲が決まっています。
そのことを知らずに、どの病院でも立会いなどはできると思っていたら、実は禁止されていた・・・というケースは多くあります。出産が近づいてその事実を知って、転院を検討するという妊婦さんも少なくありません。
他に、立会い出産は可能でも、そのための条件が定められている病院もあります。赤ちゃん誕生の瞬間は一度しかありません。出産時の希望がある場合には、可能かどうか、またそのための条件を確認しておきましょう。
実際に下見してみる
産婦人科や産院を選ぶ際には、インターネットからの情報収集や掲載されている口コミなどで、病院の雰囲気や評判を確かめることで、大体のイメージは想像できます。
ですが、直接行ってみないとわからないことも多くあります。「ネットでの評判は良かったのに・・・」ということもあるかもしれません。
情報自体が更新されていなかったり、数年前の口コミを頼りにしたらまったく違っていた、という可能性も。そこで、行きたいと思う産婦人科や産院が見つかったら、実際に下見に行ってみましょう。
電話で見学したいと伝えれば、できる範囲で対応してくれるでしょう。また、病院によっては、定期的に下見や見学会を行っているところもあります。
下見の際に確認しておきたいのは、分娩室、入院する部屋、食事内容、出産費用、出産のための講習会などです。
他に気になることがあればメモしておきましょう。そして、一番重要なのは、看護師や助産師、スタッフの雰囲気です。
妊婦さんへの対応や言葉遣い、笑顔で接してくれるかなど、あなたなりに「この病院は良い」と感じるポイントや、病院内の空気を肌で感じましょう。
最新設備がある大きい病院でも、スタッフの対応次第では「ここでは出産したくない」と思うこともあります。
出産で後悔をしないために
妊婦さんにとっても赤ちゃんにとっても、その子の誕生の瞬間は一度しかありません。一度きりのことだからこそ、妥協して決めるのはやめておきましょう。
このときに妥協してしまうと、後々になって後悔することになります。赤ちゃんが生まれる喜びいっぱいの瞬間のはずなのになんだかがっかりしている・・・なんていうことも。
病院選びのポイントを押さえて、安易に決めてしまわないようにしましょう。最初に慎重になればなるほど、安心して出産に臨むことができます。
そうすれば、「この病院を選んで良かった」と出産の楽しみや喜びが二倍にも三倍にもなります。後悔のない出産のために、事前準備はしっかりと行いたいですね。