産後に脇のしこりを発見

産後に脇の下のしこりの原因は副乳?乳がんの可能性は?



出産後、授乳をしているときに、ふと脇の下あたりを触ってみると、小さなしこりに気がついて慌てたという話がよくあります。

産後にできる脇の下のしこりは、病気のサインである可能性があるかもしれません。その原因や対処法を知って、不安要素があるならばできるだけ早めに対応する必要があります。

そこで今回は、

・産後のわきの下にしこりがある!
・わきの下にしこりがあるのはなぜ?
・しこりを見つけたらどうすればいい?

といった方に、産後の脇の下にしこりができる原因や、対処法について詳しくご紹介します。

産後の脇の下のしこりの原因は?

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産後に脇の下にできるしこりの正体は、主に副乳です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

副乳とは

私たち人間には、通常2つの乳房があります。しかし、犬や豚や牛や猫などの乳房は2つではありません。

身近な動物でも、人間のように乳房が2つというものは少ないのですが、人間も元々は2つ以上の乳房を持っていました。

人間は他の動物のように、子どもを一度に何人も産むということがないので、人間の進化の過程で乳房の数が徐々に減り、退化して行った結果、今のように2個になりました。

これは進化の過程でこのようになったので、現在でも乳房が2個でないという人がいても決して不思議なことではなく、退化しきれずに残った乳房のことを副乳といいます

特に日本人女性は、欧米の女性に比べると副乳を持つ女性の割合が多く、女性の20人に1人ほどの割合で持っています。

また、女性だけでなく男性でも副乳を持っている人もいます。副乳があることは決して特別なことではないのです。

妊娠すると色が濃くなる

自分に副乳があっても副乳だと気がついていない人はたくさんいます。多くの人は思春期に乳房が膨らんできた時に、一緒に副乳が目立ってきて気がつきます。

しかし、副乳が小さいものであるとホクロやイボだと思っている人もいます。

妊娠して、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が盛んになると、色素沈着を引き起こして副乳の色が濃くなることで副乳に気がついて、妊婦検診のときに医師に相談する人も多くなります。

副乳は乳腺組織がある一般的な乳房と同じように、ホルモン分泌に反応します。生理前になると腫れや、痛みが出ることもあります。

副乳には母乳を出す乳口がないことが多いので、母乳が出ない方が多いです。

副乳はどこにある?

脇の下から乳房、足の太ももにかけてのラインを「ミルクライン」と呼びますが、妊娠6~8週頃にかけてミルクライン上に乳腺の元となる組織が形成されます。

しかし、妊娠9週頃には前胸部の左右一対を残して乳腺組織は退化します。

この際に退化しなかった乳腺組織が副乳になるのです。

このため、ミルクライン上であれば、どこにでも副乳ができる可能性があります。

普段は目立っていなくても、妊娠や出産をして授乳するようになると乳腺がどん影響で入選がどんどん発達して、しこりのように触れたり、中には痛みを伴ったりするケースもあります。

副乳があると痛い?

出産前から副乳があることに気がついている人もいますが、副乳は乳房と同じく、女性ホルモンに大きく影響されますので、乳房が膨らみ始める思春期や、妊娠・出産をきっかけに気づくこともあります。

出産後になって、初めて副乳があることに気がつくという人もいますが、もし副乳があっても特に問題はありません

出産後に授乳で急に副乳が発達してきた場合は、小さな膨らみやしこりであることもありますが、人によっては大きく腫れ上がることもあります。

腫れてくると痛みを感じます。痛みを感じてもほとんどの場合は数日すれば腫れも治まり状態は落ち着いてきます。程度にもよりますが、腫れも1週間前後で引いてきます。

副乳から母乳は出る?

副乳には、乳腺組織が含まれているため女性ホルモンなどの働きによって発達することはあります。

このため、妊娠したり、出産することで女性ホルモンや母乳の生成を促すホルモンの分泌が活発になると乳房のように張りが出たり、大きく膨らんだりすることはあります。

また、実際に副乳から母乳が出ることもありますが、乳房から出る母乳に比べると非常に少量です。

副乳の対処法は?

副乳は、産後授乳を行い、乳腺の発達と母乳の産生を促すホルモンの分泌が盛んになることで大きくなり、痛みを伴うことも少なくありません。

しかし、授乳をすることは止められないので、副乳部分を触ったり、揉んだりして必要以上に刺激しないようにしましょう。

副乳も、乳房と同じように授乳期に刺激したり、血流を良くするとより大きくなったり、母乳が出ることがありますが、気にしないことが大切です。

また、温めると血流が良くなって乳腺組織が発達しやすくなりますので、副乳を冷やすようにします。保冷剤などをガーゼで包んだもので冷やすのが良い方法です。

刺激しない、冷却するという自宅療法で腫れや痛みが引かない場合は、専門の医療機関で副乳と診断された後であっても、受診して患部を診察してもらうようにしましょう。

鎮痛剤を処方されるのが一般的ですが、1週間ほどで改善することがほとんどです。

副乳の治療方法は?

副乳は、あることで健康被害があったり、出産や授乳に悪影響が出たりするものではありませんので、副乳があると分かっても治療する必要はありません

授乳するようになって、副乳が膨らんで目立つようになると気になってくる人もいますが、基本的に授乳が終わってしまえば、副乳の存在自体はなくならなくても、膨らみは自然に治まります。

副乳を取りたい場合

副乳は病気でもありませんし、健康に悪影響を与えるものでもないので、副乳があっても治療しないというのが一般的です。

しかし、脇の下に副乳があって気になる、生理のたびに腫れて痛む、コンプレックスだという場合は、手術によって切除することができます。

また、急激に大きくなって性周期などによっても縮小しない場合は悪性化している可能性も考えられますので治療の対象となります。

手術によって切除する場合でも、健康被害のない副乳の切除は、美容目的ということで自由診療ということになります。

自由診療ということは、保険適応外なので、治療費は病院によっては非常に高くなる場合もあります。

手術自体は、イボやホクロの切除と同じような方法で行います。麻酔は局部麻酔で行いますが、切開して取り除いた後に縫合します。

もっと小さな副乳の場合はレーザー治療で簡単に取れる場合もあります。

副乳が判断できない場合は受診する

脇の下にできるしこりが副乳である場合は問題ありませんが、脇の下も含めて乳房周りにしこりがある場合は腫瘍であることもあります。

自分では副乳だと思っていたのに、実は腫瘍だったということがあってはいけませんので、脇の下にしこりがある場合は必ず病院で診察・検査を受けるようにしましょう。

乳瘤(にゅうりゅう)とは

産後の生理がこないのはどうして

乳瘤とは、母乳が溜まってできる瘤(こぶ)のことです。乳腺から母乳が出ますが、乳腺のある箇所で母乳がつまって、母乳が溜まってしまうと瘤のようになります。
このため、副乳にも乳瘤ができることがあります。

この乳瘤が副乳にできると、脇の下にしこりとして触れるようになります。
乳瘤は中の母乳の溜まりがなくなると自然に消えるので、自然に体に吸収されることで、徐々に小さくなってきます。

しかし、母乳がつまる、内部に感染が生じて乳瘤が痛いという場合は、悪化しない内に早めに専門の病院を受診するようにしましょう。

乳瘤の治療法は?

乳瘤は、分泌される母乳が溜まってできるものです。母乳が溜まってしこりとなるものもあり、母乳が溜まることで乳腺自体が硬くなって腫れることもあります。

副乳は母乳が生成されたとしても乳首のような排出口がない場合も多いため、自然に体に吸収されるのを待つことがほとんどです。

ただし、痛みが強い場合や細菌感染を起こしているような場合には病院を受診しましょう。妊娠中や授乳中でも使用できる薬を用いることもあります。

乳がんの場合があるので注意が必要

産後に授乳をしていて脇にしこりがある場合、そのしこりのほとんどは副乳が原因です。

特に健康上問題がなく、痛みがあっても1週間~10日ほどで状態が安定してきます。

しかし、産後のトラブルだと思っていた脇の下のしこりが乳がんのリンパ節転移によるものである場合がありますので注意が必要です。

脇のどの部分にしこりがあるか

脇にしこりがある場合、脇のどの部分にしこりがあるかというのは非常に重要です。

脇の真ん中

副乳などがよくあるのは、脇の真ん中あたりです。粉瘤(ふんりゅう)や毛嚢炎(もうのうえん)ができやすい場所です。

この部分にしこりがある場合はほとんどなく、もししこりがあっても良性のものが多いです。

皮膚自体に赤みがある場合は、炎症を起こしていることが多いですが、副乳などは赤みがなく、全体的に膨らんでいます。

副乳にもがんができます(副乳がん)が、かなり稀なケースです。もし、副乳がんの場合は表面にしこりができるのではなく、皮膚の奥のほうにゴロッとした可能性のないしこりが触れます。

腕を上げたときに凹んでいるところ

腕を上に上げて脇を見たときに、少し凹んでいるところにはリンパ節がありますが、このリンパ節にしこりがある場合は、注意が必要です。

脇のしこりが皮膚の奥にあり、ゴロリとしたしこりの場合はリンパ節に転移したがんの可能性があります。

皮膚は赤くならず、触っても特に痛みがありません

この部分にできるしこりには要注意ですので、しこりを見つけた場合は、すぐに乳腺科など専門医がいる病院を受診しましょう。

胸の付け根

脇というよりも、胸の付け根あたりの脇の下にしこりがある場合、押さえて痛みがある場合は乳腺症の可能性があり、痛みがなくしこりがコロコロ動かない場合は乳がんの可能性があります。

また、この部分には乳瘤ができることもありますが、乳瘤の場合は赤ちゃんに母乳をたくさん飲んでもらうことで、しこりはなくなります

授乳しているのに、一向にこの場所のしこりがなくならない場合は乳がんの可能性がありますので注意しましょう。

授乳中でも乳がんを発症しますので、しこりを発見した段階で病院を受診しましょう。

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監修:成田 亜希子(医師)

プロフィール:弘前大学卒業後、内科医として地域医療に従事。その傍ら、保健所勤務経験もあり、国立保健医療科学院での研修も積む。感染症や医療行政にも精通している。プライベートでは二児の母。

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