妊婦さんが注意すべき溶連菌

妊婦さんが注意すべき溶連菌!胎児への影響や検査の方法って?



妊娠中はさまざまな感染症に注意が必要となります。

妊婦さんは免疫力の低下が見られることもあり、ウイルスなどの感染のリスクも高くなる時期ですが、予防していたからといってまったく病気にならないというわけではありません。

「溶連菌」もそんな感染症の一つで、妊婦さんは特に注意した方が良い病気です。

そこで今回は、

・溶連菌って何?
・妊娠中に感染するとどうなるの?
・お腹の赤ちゃんに影響あるの?

といった方に、妊婦さんが溶連菌に感染してしまった場合どのような症状があらわれるのか、胎児への影響、その予防法などについて詳しくご紹介します。

溶連菌とその症状

治療による赤ちゃんへの影響

溶連菌とは「溶血性連鎖球菌」という細菌です。もともと人間の中に存在する病原菌で、病原性が弱いものから強いものまで、数十種類保有しているといわれています。

一般的に小さな子どもに発症するのがA群溶血性連鎖球菌によるもので、妊娠中に気を付けなくてはならないのがB群溶血性連鎖球菌による感染症です。

A群溶血性連鎖球菌

溶連菌はA群とB群に分けることができ、一般的に溶連菌感染症と呼ばれているのはこのA群溶血性連鎖球菌です。

5歳未満の子どもに発症が多いといわれており、喉に付いて赤く炎症を起こすことでも知られています。

その他にも、喉の腫れや痛みなども見られ、発熱や頭痛、腹痛、リンパの腫れといった症状もあらわれます。

症状が風邪とよく似ていますが、風邪の代表的な症状である咳や鼻水などはほとんど見られませんので、そのあたりを判断基準としてみましょう。

また、小さな赤い発疹が体中にできたり、イチゴ舌といって舌にイチゴのような色のぶつぶつができることもありますので、これらの症状があらわれた時には溶連菌感染症を疑ってみましょう。

もちろん、免疫力が落ちている妊婦さんでも感染する可能性はあります。年齢が小さいほど症状が軽く、大人になるほど症状が重くなるため、妊娠中に発症すると寝込んでしまうことも少なくありません。

主に、飛沫や経口などにより感染しますので、人ごみや溶連菌に感染した家族がいる場合などは、発病するリスクも高まります。

特に冬は溶連菌がもっとも流行するシーズンですので、注意が必要です。

上の子が溶連菌感染症になっている場合、感染するリスクも跳ね上がりますので注意しなくてはなりません。喉の腫れや激しい痛みを感じたら、早めに医療機関で受診するようにしましょう。

B群溶血性連鎖球菌(GBS)

妊婦さんが特に注意しなくてはならないといわれているのが、B群溶血性連鎖球菌です。

もともと体の中に存在する常在菌であるため、妊娠していない場合、特に症状があらわれることは少ないです。

しかし、妊婦さんの場合、抵抗力がグンと落ち込んでいると、稀ではありますが、膀胱炎や羊膜炎、子宮内膜炎などを引き起こすことがあります。

もちろん弱い菌であるため、そうあることではありませんが、重症化してしまうと死産につながることもありますので、注意が促されています。

また、出生時に赤ちゃんに感染してしまうこともあり、その場合重篤化することが多いため、危険だといわれているのです。

B群溶血性連鎖球菌が赤ちゃんに与える影響

B群溶血性連鎖球菌は、膣内や膀胱などに常在する菌です。そのため、膣内を通って産まれてくる赤ちゃんは、その過程で感染してしまいます。

生まれたばかりの赤ちゃんは菌への抵抗力も備わってないため、重篤な病気に陥るリスクが高くなります。

重症化してしまうと、髄膜炎、敗血症、骨髄炎、敗血症性関節炎などを発病し、最悪の場合命を落とすことがあります。

細菌性の髄膜炎は20%から30%の割合で死に至ることでも知られている病気で、後遺症が残ってしまうリスクもあり、聴力や視力が失われてしまったり、運動や学習能力に障害が残る場合があります。

B群溶血性連鎖球菌は、母親から赤ちゃんへの感染が問題となりますので、発病させないためには、出産時に、赤ちゃんへのB群溶血性連鎖球菌の感染を予防することが重要です。

B群溶血性連鎖球菌が赤ちゃんに感染するタイミングは?

B群溶血性連鎖球菌は出産時、産道を通った時に感染します。

お腹の中の赤ちゃんは通常、卵膜という薄い膜に覆われ守られていますが、破水してしまうと、お母さんの膣内にあるB群溶血性連鎖球菌にさらされることになります。

赤ちゃんの目や鼻、口などから菌が侵入してB群溶血性連鎖球菌に感染してしまうのです。

中でも早発型と呼ばれる日齢7日以内の発症は患者数の約8割と多く、出産直後から呼吸障害を起こしたり、仮死状態やショック状態で生まれてくるため、死と隣り合わせの危険な状態になるケースが多いです。

また、6時間から12時間で敗血症などに陥ってしまうため、発病を止める時間が短いことも、重症化してしまう要因です。

B群溶血性連鎖球菌の過去の感染

横浜市感染症情報センターの情報によれば、1990年のアメリカの調査で、7600人の新生児のB群溶血性連鎖球菌感染が認められており、そのうちの310人が死亡しています。

つまりアメリカの出生児1000人中、約1.8人に感染が発生していて、発病した場合の死亡率は4.1%に達しています。

決して多い数字ではありませんが、やはり妊娠中に母親の感染を防ぐこと、予防することで新生児の発病予防に繋がりますので、無視することはできません。

実際にアメリカでは早くから、妊婦さんに対し、医療機関での検査と予防が行われています。

B群溶血性連鎖球菌の検査と予防

B群溶血性連鎖球菌の検査と予防

現在は、アメリカに続き日本でも、B群溶血性連鎖球菌に有用といわれているGBSスクリーニング検査が実施されています。

妊婦さんがB群溶血性連鎖球菌を持っている割合は、10%から30%ほどで、そのうち発症するのはわずか1%前後といわれていますが、ひとたび赤ちゃんが発症すれば死や後遺症に陥ってしまうため、すべての妊婦さんに対し妊娠35週から37週の間に検査を行うことが推奨されています。

GBSスクリーニングで陽性が認められた場合、出産時に抗生剤が投与されます。この検査と予防によって、出産後すぐに発病が認められる新生児の割合は大きく減少しています。

GBSスクリーニング検査はどんな検査?

GBSスクリーニング検査は、細菌を培養し、陽性か陰性かを見る検査となります。妊娠35週から37週の検診の際に検査を実施することになりますが、膣内と肛門を検査用の綿棒で擦り、母体にB群溶血性連鎖球菌(GBS)がいないか培養して確認します。

出産時の赤ちゃんへの感染を防ぐ目的で行われる検査ですので、できるだけ出産時期に近い妊娠後期が適しています。

ですが、以前に出産し、前の子がB群溶血性連鎖球菌感染症だった場合、検査を行わないで陽性扱いとすることがあります。

また、前の子がB群溶血性連鎖球菌感染症で、今回の検査では陰性となった場合や、GBS尿が認められた場合にも、陽性として抗生剤による感染予防策を取ることになります。

培養検査の信用度があまり高くないため、不安要因がある場合には陽性と同様の予防が行われます

母子手帳にもGBS検査、陰性(‐)、陽性(+)と記載されますので、GBSスクリーニング検査をきちんと行っているか、ぜひ確認してみましょう。

検査が行われていない場合には、赤ちゃんを守るためにも医師に確認しましょう。

妊娠初期や中期に検査は必要ないの?

B群溶血性連鎖球菌は非常に弱い菌ですので、お母さんに悪さをするケースはあまりありません。そのため、赤ちゃんへの感染が主に心配されます。

もちろん、妊娠初期や中期などに、尿検査などでB群溶血性連鎖球菌に感染していることが見つかることもありますが、あえて早い時期に検査を行う必要はありません

抵抗力が弱っている場合などは、検査後に感染してしまうことも考えられるためです。赤ちゃんへの感染を防ぐためには、この妊娠35週から37週が一番適しています

産院によっては多少検査時期がずれることもありますが、基本的にこのガイドラインに近い週の検診で検査を行います。必ず検査を受けるようにしましょう。

B群溶血性連鎖球菌(GBS)の予防とは?

妊婦さんがB群溶血性連鎖球菌に感染していた場合、赤ちゃんへの感染を防ぐために予防の処置がとられます。

感染が認められなかった場合でも、早産や破水後、18時間経過しても赤ちゃんが生まれない場合やお母さんが38℃以上の発熱がある場合は予防の処置を取ります。

実際の予防対策は、陣痛後すぐの点滴です。ペニシリンの抗生剤を静脈内に投与していきます。

ペニシリンにアレルギー反応がある場合などは、代替えとしてアンピシリンなどが使われることもありますが、出産に至る前から投与すると予防効果が高くなるといわれています。

ですが、この抗生剤の投与はあくまでも予防処置ですので、100%感染を防げるという訳ではありません。

中には、予防策をとってもB群溶血性連鎖球菌に感染してしまうケースもありますので、その点についても頭に入れておくことが大切です。

B群溶血性連鎖球菌から新生児を守るために

予防法は分かってはいても、出産は予定通りにはいきません。

予防のためには、出産前、しかも破水前にペニシリンなどの抗生剤を投与する必要がありますが、ペニシリンを投与する前に破水してしまうこともありますし、投与量が十分でないにもかかわらず出産を迎えてしまうこともあります。

これが原因なのかはっきりしたことは分かりませんが、予防処置をとっていても赤ちゃんへの感染が確認されることがあります。

そのため、病院ではGBSスクリーニング検査でお母さんが陽性だった新生児には、より注意を払います。感染の兆候がないか頻繁に体温を測ったり、様子を観察したり、血液検査を行います。

検査の結果、感染が疑われる場合には症状がなくても治療を行っていきますので、お母さんは過度に心配する必要はありません。まずは出産後の体の回復に専念してください。

赤ちゃんがB群溶血性連鎖球菌感染症だったら?

B群溶血性連鎖球菌感染症は、大きく分けて2つに分類できます。生後7日以内に発症する早発型とそれ以降に発症する後発型です。

早発型は全体の8割を占めていて、ほとんどのケースがこれに当てはまりますが、入院中に症状が分かることが大半となりますので、医師に判断をゆだねるのが一番です。

生後数日、感染症の前兆がないかを注意深く観察し、場合によってはのど、鼻の細菌培養検査を行い、感染しているかどうか判断します。

発症が疑われる場合には抗菌薬を投与し、治療していきます。生後24時間がもっとも危険といわれていますので、その間に体温調節障害、呼吸窮迫、黄疸、無呼吸などが起こらないようNICUなどで医師管理のもと治療を行っていきます。

お母さんにとってはとても心配ではありますが、まずは先生の指示に従い、よく話を聞いておきましょう。

後発型は早期発見がポイント

早発型と異なり、後発型は入院を終え、自宅に帰ってから発症することになります。早発型が8割なのに対し、後発型は約2割ほどですので、発症することも稀ではありますが、赤ちゃんのもしもに備えていてあげることは大切です。

早発型の様に、死に至る危険性は少ないとされていますが、髄膜炎などの重い症状を併発することもありますので、GBSスクリーニング検査で陽性だったり、出産に長い時間がかかったという場合は特に注意して、赤ちゃんの様子を観察してあげるようにしましょう。

早期発見、早期治療が重症化を防ぐことに繋がりますので、ミルクの飲みが悪かったり、元気がない時には必ず病院に足を運ぶよう心がけましょう。

また、呼吸が乱れていたり、発熱、嘔吐、風邪のような症状が現れた時には、いち早く赤ちゃんの生まれた病院や専門の病院に連絡し、検査、治療を行ってもらうようにしましょう。

まとめ

溶連菌は、のどが腫れて痛い風邪に似た症状ばかりではありません。B群溶血性連鎖球菌に感染してしまうと、妊婦さんから赤ちゃんへ感染してしまうため、避けたい病気です。

赤ちゃんへの感染を防ぐためには、B群溶血性連鎖球菌にお母さんが感染しているかどうか知ることが大切です。

妊娠35週から37週の間に必ずGBSスクリーニング検査を受け、出産時に起こる赤ちゃんへの感染を予防するよう心がけましょう。

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