自力で呼吸ができない!?新生児の気管切開とはどういった時?

自力で呼吸ができない!?新生児の気管切開とはどういった時?



産まれたばかりの赤ちゃんには、なんらかの染色体異常や病気のために小さく産まれた低出生体重児と呼ばれる赤ちゃんもいます。

また、出産中のトラブルによって仮死状態で産まれてきた赤ちゃんもいます。そして中には自力で呼吸ができないため緊急に気道を確保しなければならないケースがあります。

そこで今回は、

・生まれてきた赤ちゃんが自分で呼吸できないとどうなるの?
・赤ちゃんが自発呼吸ができないときの手術はどんなものがあるの?
・気管切開や気管内挿管をする必要がある病気って?

といった方に、新生児に気管切開や気管内挿管をする必要があるのはどういう時なのか詳しくご説明します。

新生児にはとにかく呼吸をさせることが最優先事項

新生児にはとにかく呼吸をさせることが最優先事項

赤ちゃんが産まれてすぐに確認するのは呼吸をしているかどうかです。自力で呼吸ができないと酸素不足となって低酸素脳症などを引き起こすことがあります。

ですから自分の力で呼吸することができない赤ちゃんには、呼吸するための気道を確保してあげることが最優先となります。

気道が閉じたり塞がっていたり、または気道がとても狭い場合などには、気道に直に管を通す気管内挿管をおこないます。

しかし気管内挿管もできないような状況にあるときは緊急に気管切開の手術をおこなって気道を確保することになります。

気管切開とは?

>気管切開とは

気管切開とは自力で正常な呼吸が行えなくなった患者さんに対して行われる治療のことです。

喉仏の下に穴(孔)をあけて、その孔から気管カニューレという気管用の管を入れ、痰や分泌物など詰まっているものを吸引したり、肺に空気を送って呼吸ができるようにします。

将来的に気管カニューレを抜いて気管切開を閉じることを前提に、孔をあけずにスリットだけをいれる病院もあれば、気管カニューレの交換がスムーズにおこなえるように孔をくり抜いて気管と縫い合わせる病院もあります。

どちらの方法で手術をおこなうのか事前に確認しておきましょう。

気管切開の目的は?

気管切開は気道を確保するための一つの治療方法ですが、大きく分けて3つの目的があります。

気道が塞がってしまうのを防ぐため

病気などで上気道(喉までの気管の入り口まで)に何らかの問題があり、気管が閉じて塞がってしまった場合、またその危険性がある場合には塞がってしまわないよう気管切開を行います。

下気道(喉から下の気道)に痰や唾液などの分泌物が貯まるのを取り除くため

意識障害などで下気道にある痰や唾液を自分の力で吐き出すことができない場合に、それらによる窒息を防ぐため貯まったものを吸引して取り除けるように気管切開が必要となることがあります。

呼吸ができるよう管理するため

自力で呼吸することができない場合、呼吸を確保する目的で気管切開し、そこから肺へ向けて人工的に空気を送り込みます。脳性まひなどでは長期にわたっての呼吸管理が必要となることもあります。

気管切開のメリット

緊急時の気道確保として口や鼻から気管に管を通す「気管内挿管」という方法もありますが、長期間にわたる呼吸管理には気管切開のほうが適しているとされています。

気管内挿管の太い管を口や鼻から入れることは、子どもにとっても苦痛であり不快感を伴うことが一つの理由です。また、管を長期間入れたままにしていると、組織が圧迫されつづけて潰瘍や壊死を起こしやすくなります。

そのうえ長い間同じ管を使用すると不衛生になりやすく、痰や唾液によって管がつまりやすくなるので、定期的に管を入れ替える必要があるためです。

しかし、新生児への気管内挿管は誰にでもできるのではなく、ある程度の経験がなければ難しく危険です。また、万一挿管しているチューブが抜けてしまったら、専門医がすぐに対応できないと低酸素状態となり脳に深刻な障害が起きることがあります。

気管切開は、気管内挿管に比べて苦痛や不快感が少なく、痰や唾液などの分泌物、気道に誤って入ってしまった誤嚥(ごえん)物も吸引によって取り除きやすくなります。

また、仮 に状態が悪くなってしまっても、迅速に人工呼吸器につなげることができるのも大きなメリットの一つです。

そして、気管切開を行う原因となったことが改善されれば、気管切開を閉じて、口や鼻から普通に呼吸できるようになります。

気管切開のデメリット

気管切開のデメリットとしては、手術をする必要があるため出血や感染などの危険が伴うことです。

また、気管カニューレという気管用の管を入れてそこから空気の出入りが生じることになるため、気管の壁に慢性的な刺激が加わって「肉芽」というできものができたり出血したりというトラブルが起きる場合もあります。

新生児に気管切開や気管内挿管がおこなわれる病気や症状

新生児に気管切開や気管内挿管がおこなわれる病気や症状

産まれてすぐに元気な産声をあげることができない赤ちゃんには、しっかり呼吸ができるように気管内挿管や気管切開が行われますが、まずは気管内挿管をしてそれからNICU(新生児特定集中治療室)で管理され治療をうけることになります。

気管内挿管ができない場合は気管切開となりますが、それほどの緊急性がない赤ちゃんの場合は、首が十分に据わった生後6ヶ月以上で一定以上の体重になってから、などを目安に気管切開をおこなうかどうか親御さんに問われることが多いです。

気管内挿管や気管切開をおこなう可能性がある病気や症状には、脳性まひ、喉頭軟化症などの未発達からくるもの・声門下狭窄などの狭くなっているものなどがあります。

脳性まひとは

脳性まひは、妊娠中から生後1か月の赤ちゃんに何らかの原因で起きてしまった脳損傷の後遺症です。

主に運動発達(首が据わる、ハイハイ、立つ、歩くなど)が遅れるか上手くいないことが多いとされています。

脳性まひの場合、首の捻じれが起こることがあり、その影響で息の通り道が狭まり息を吸いづらくなることがあります。

特に呼吸がしづらい場合は、気管内挿管や気管切開を行い、空気の通り道をつくることがあります。

喉頭軟化症とは?

喉頭軟化症は、軽症の場合のほとんどが1歳ぐらいまでに自然に治るとされています。

つまり、硬い軟骨で構成されている喉頭がまだ未成熟でやわらかいために、呼吸するたびに喉頭の構造が喉頭の中に引き込まれて気道を狭くして、呼吸困難やぜーぜーと苦しげな呼吸になってしまうのです。

ですがそれも成長するにつれて治まってきます。ただし、ひどい呼吸困難になったりチアノーゼを起こしたりと、ほかの合併症の症状が考えられるような重症の場合には、気管切開などをおこなうこともあります。

声門下狭窄とは?

声門下腔、いわゆる声門の下の気道が狭くなっている気管狭窄の一種で極めて珍しい病気だといわれています。

基本的に自然に治るのを待つしかないのですが、治癒した段階で気管は縮まっていきさらに気管が細くなってしまうため、太くする治療をしておかなければなりません。

狭くなっている場所より下を気管切開し、その場所を使わずに気管カニューレから直接呼吸する方法をとります。

この場合、気管内挿管をしていたらその管が狭くなっている原因ともなり、また管が狭窄している場所を刺激しつづけることになるため改善されません。気管切開に切り替えて気管が大きくなるのを待つ必要があります。

数年後、順調に気管が大きくなれば気管形成術の手術をして気管カニューレをはずし、口や鼻から呼吸ができるようになります。

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