朝に白湯を飲んでおくと身体に良いというのはよく聞く話で、実際、飲んでいる人も多いのではないでしょうか?そんな白湯に近いものとして挙げられるのが湯冷ましです。
沸騰させたお湯を冷ましたもので、沸騰させることで殺菌や塩素を抜くことができることから、安心して赤ちゃんに水を飲ませられます。
ママの中には、この湯冷ましを赤ちゃんに、と勧められた方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、
・赤ちゃんに湯冷ましはどれくらい飲ませれば良い?
・簡単な湯冷ましの作り方を教えてほしい!
・赤ちゃん用に作った湯冷ましに塩素が入ってないか心配!
といった方に、赤ちゃんにとって母乳やミルク以外に湯冷ましは本当に必要な物なのか、また湯冷ましをあげる時の注意点などについて詳しくご説明します。
この記事の目次
湯冷ましが必要とされる理由
まず白湯と湯冷ましの違いですが、白湯は温度に関係なく水を沸かしたもので、その白湯を冷ましたものが湯冷ましです。
赤ちゃんというと、普段から母乳やミルクを飲んでいるので、わざわざ湯冷ましを飲ませる必要はないような気がします。
特におばあちゃん世代を中心にして、赤ちゃんに湯冷ましを勧める理由については以下の通りです。
いってしまえば、ただのお湯である湯冷ましですが、赤ちゃんに勧めるからには、きちんとした理由があります。
粉ミルク中心だった
おばあちゃん世代に「赤ちゃんに湯冷ましを」と勧められることが多いのは、おばあちゃん世代が子育てをしていた時期にあたる70年代頃に、粉ミルクの育児が広がっていたから、という理由が挙げられます。
そのため、湯上りなどの時には湯冷ましを飲ませるように、保険指導がされていたほどでした。
また、当時の粉ミルクはたんぱく質やミネラルが濃く栄養が偏り、湯冷ましで薄める必要があったことも理由に挙げられます。
現在の粉ミルクは母乳に近い栄養濃度になっていますが、おばあちゃん世代にしてみると、この背景から、母乳であっても湯冷ましを飲ませた方が良いと認知しています。
赤ちゃんにも水分が必要だから
毎日、母乳やミルクを摂取している赤ちゃんでも、暑い夏の日やお風呂上りは大人と同様に喉が渇きます。
もちろん、離乳食が始まるまでは母乳やミルクだけでも水分を十分に補えますが、喉が渇いた時などは、普段飲んでいる母乳やミルク以外の水分が必要になってきます。
しかし、熱いお湯や冷たい水など、温度が極端に高かったり低かったりする飲み物は、赤ちゃんの胃に負担がかかってしまいす。
そのため、1度沸騰させて冷ました湯冷ましが、赤ちゃんにとって水分を摂るのにちょうど良いのです。
必ず湯冷ましを飲ませる必要はない?
現在は、赤ちゃんに湯冷ましを飲ませなくてはいけない、という指導はされていません。そのため、湯冷ましを赤ちゃんに必ず飲ませる必要は基本的にないです。
しかし、最近の異常気象による高温や入浴後は赤ちゃんも汗をかきやすく、水分不足になってしまう恐れは捨てきれません。
また、母乳を飲んでいる赤ちゃんはともかく、粉ミルクを飲んでいる赤ちゃんは、母乳に栄養濃度が近くなり、消化も良くなったとはいえ、消化器官への負担も気になります。
時と場合によっては、湯冷ましを飲ませることを考えてみましょう。
湯冷ましを飲ませるならいつからいつまで?
基本的に湯冷ましは、いつから飲ませても構わないとされています。
ただし、赤ちゃんといっても、年齢や生まれてからの日数によって、新生児や乳児と時期があり、新生児から飲ませても良いのか悩みます。
細かく指定すると、生後すぐにあげても良いといわれているとはいえ、新生児から湯冷ましを与えてしまうとママの母乳の飲みが悪くなる恐れもあることから、勧められていません。
水分不足が心配されますが、赤ちゃんに必要な水分の量は体重1kgに対して150ml程度なので、湯冷ましを飲ませなくても母乳やミルクで水分摂取は十分可能です。
いつまで、という期限に関しては特に決まっていませんので、後述する注意点を踏まえながら湯冷ましを赤ちゃんに飲ませてあげて下さい。
湯冷ましを飲ませる際の注意点
前述にもあるように、赤ちゃんに湯冷ましを飲ませる際には注意することがあります。
大人と異なり、量やあげ方を間違えると、消化器官などに負担がかかる可能性があるため注意しましょう。
湯冷ましを赤ちゃんに与える時に、注意したいことは以下の通りです。何度もいうように無理をして飲ませる必要はありません。
水分不足が気になる場合や、赤ちゃんの様子に応じて、授乳に響かない程度にしましょう。
湯冷ましの飲ませ方
赤ちゃんに飲ませるわけですから、コップで直接飲ませるわけにはいきません。赤ちゃんに湯冷ましを与える際には哺乳瓶やスプーン、月齢が進みもう少し大きくなってくればアグカップで与えても良いです。
ただし、水分不足が心配で湯冷ましを与える場合には、母乳の赤ちゃんであれば、湯冷ましにせず母乳を与えましょう。
粉ミルクを与えている赤ちゃんに関しては、間隔が短いと消化器官などに負担がかかることを考慮して、湯冷ましを先程挙げた飲ませ方で与えます。
しかし、赤ちゃんが飲まない場合には、無理に飲ませないことも大切です。
湯冷ましの適量について
赤ちゃんに湯冷ましを飲ませても問題ないとはいえ、水分の摂り過ぎは先に触れたように、お腹がいっぱいになることで母乳の飲みを悪くし、また胃液が薄まって消化を妨げたり、腎臓にも負担がかかるといわれています。
赤ちゃんに湯冷ましを飲ませる適量としては、約10cc~30ccくらいを目安にしましょう。しかし、この量を一気に飲ませてしまうのも身体に良くありません。
授乳の時間を考えながら、1回につき月齢×10ml程度に分けて与えることが大切です。水分不足が気になる場合にも、月齢×10m程度を目安に飲ませてあげて下さい。
湯冷ましの作り方
湯冷ましというと、ただヤカンにお水を入れて沸騰させればいいだけのように感じますが、きちんとした作り方があります。
沸騰させたお湯を冷ました物とはいえ、赤ちゃんに飲ませる物ですから、湯冷ましを作る際には以下の手順を守って作るようにしましょう。
作り方によっては、かえって赤ちゃんの身体に害を与える恐れもあるので、後述する注意点も抑えながら、湯冷ましを作ってあげましょう。
1.水道水を沸騰させます。5~10分は沸騰させておきましょう。
2.沸騰したら火を止め、人肌の温度になるまで冷まして下さい。
3.できた湯冷ましは魔法瓶に入れ、1日で使い切るようにしましょう。
冷ましたお湯ならペットボトルなど、簡単な容器に入れても大丈夫なような気がしますが、お湯をペットボトルに入れると、ペットボトルの成分が湯冷ましに溶けだしてしまい良くありません。
また、魔法瓶に入れた物でも日を跨(また)いだ湯冷ましは時間を置くと雑菌が繁殖してきてしまい、赤ちゃんの身体に大変危険ですので、絶対に飲ませないで下さい。余った湯冷ましは捨てて、また新しく作り直すようにしましょう。
塩素に気を付けよう!
湯冷ましの作り方で5~10分沸騰させるのは、雑菌などを殺菌するための煮沸ではありません。生水と異なり、水道水には殺菌作用がある塩素が含まれているからです。
作り方でも紹介した通り、煮沸した後の湯冷ましはこの塩素が抜けてしまうことで雑菌が繁殖しやすくなります。
しかし、塩素は殺菌作用がある反面、人体に有害であり、湯冷ましを飲む時に塩素が残っていると、血液障害や喘息、皮膚アレルギーなどの障害を引き起こしてしまう危険性もあります。
ですので、塩素を除去するために、水道水を沸騰させる場合には10分程度煮沸しましょう。5分でも良いとされていますが、5分程度では塩素がトリハロメタンと呼ばれる有害物質に、変化する恐れも指摘されているので注意が必要です。
煮沸以外で塩素を除去する方法は?
日本の水道水に含まれる塩素の濃度は、場合によっては外国の数倍~数10倍になることもあります。
そう考えると、煮沸で本当に塩素が除去されているのか、不安なママも少なくないでしょう。
先にも触れたように、10分以上水道水を煮沸していれば、塩素は除去されるのであまり心配する必要はありません。
しかし、煮沸する以外にも塩素を除去する方法があるなら知りたいのが本音です。
煮沸以外にできる塩素の除去方法については以下の通りになります。
汲み置き、ビタミンCを加える
水道水の塩素を除去する方法として、誰でも簡単にできるのが、水道水の汲み置きとビタミンCの活用です。
汲み置きのやり方としては、水道水を汲んだ後、それを室内では2日間、屋外でお日様に当てる場合には6時間ほど空気にさらすだけで塩素が自然に気化するとされています。
特に、お日様に当てておくと気化するスピードも早いです。
もう1つの方法であるビタミンCを活用する場合には、水道水1リットルにつき、ビタミンCが豊富に含まれるミカンや果汁、市販のレモン濃縮汁などを2~3滴加えるだけでOK。
微量加えることで、すぐに塩素を中和してくれます。
浄水器に通す
ご家庭に浄水器がある場合には、浄水器を活用して塩素を除去することもできます。浄水器に水道水を通すことで浄水器の中の中空糸で水中の塩素、トリハロメタンなどを吸着し、除去してくれます。
つまり、浄水器を利用すれば煮沸してから冷ます、という過程を省くことができます。
ただし、吸着できる量は無限ではありませんので、浄水器のカートリッジの交換時期を超えてからも使用していると、吸着した塩素などが流れ出てしまう危険性が高いので、時期を迎えたらきちんと交換することが大切です。
また、浄水器を使用したから絶対安全というわけではないので、気になる人は浄水器に通した後に、煮沸を行って下さい。
ミネラルウォーターを代用する
塩素を除去するというよりは避ける方法になりますが、水道水ではなくミネラルウォーターを使用するのも1つの方法になります。
基本的に国内のミネラルウォーターは、容器に入れられる前に加熱殺菌されており、その安全性は煮沸しなくても赤ちゃんが直接飲めるレベルです。
ただし、活用する際には硬水だとミネラルの成分が多く、赤ちゃんの胃や内臓などに負担がかかってしまうので、硬度100度以下の軟水を飲ませましょう。
また、開封したミネラルウォーターを冷蔵庫に保存した場合、その後冷たいままで赤ちゃんに飲ませるのは、赤ちゃんの身体を冷やし、体調を崩したりお腹を壊してしまう原因になりますのでNGです。1度冷蔵したミネラルウォーターを赤ちゃんに飲ませる場合には、15~25度の常温に戻してから与えましょう。
ウォーターサーバーの利用
ミネラルウォーターと同様に塩素などを避ける方法として、ウォーターサーバーを利用する方法もあります。
先輩ママの中でも、安全な水を使用することができることからウォーターサーバーを利用する人は多いです。
最近ではメーカーにもよりますが、お湯も簡単に作れるウォーターサーバーも出てきており、人気があります。
ただし、浄水器と同様に水の交換作業、メンテナンスをきちんと行う必要があり、怠っていると雑菌が繁殖しします。
また、設置費や月々の水の購入代も出てくるので、パートナーとよく相談することが大切です。
麦茶でも代用可能!
湯冷まし以外に、赤ちゃんの水分摂取に適した飲み物として麦茶が挙げられます。
ただし、赤ちゃんに麦茶を飲ませる場合には、大人が飲むような麦茶ではなく、赤ちゃん用のベビー麦茶、もしくは通常の麦茶をさらに、湯冷ましで3倍以上に薄めた物を飲ませてあげるように下さい。
濃度が濃くても、少量であれば赤ちゃんの身体に問題はないとされていますが、影響以前に、味が濃すぎると赤ちゃんは苦くて飲めません。
市販のベビー麦茶であれば、生後1か月以降から飲ませられますが、湯冷ましと同様に必ず飲ませなくてはいけない物ではないので、赤ちゃんが嫌がるようなら無理に飲ませないで下さい。
まとめ
ここまで赤ちゃんに飲ませる湯冷ましについて紹介してきましたが、何度もいうように湯冷ましは絶対に赤ちゃんに飲ませなくてはいけないものではありません。
夏の暑い日やお風呂あがりなど、赤ちゃんが水分不足になる恐れがある時を除き、母乳やミルクで水分摂取が間に合っているようであれば、無理に飲ませないことが大切です。
赤ちゃんに湯冷ましを飲ませる際には、作り方、量や温度などをきちんと守って、赤ちゃんの身体に優しい湯冷ましをあげて下さいね。