小さな子供を育てるのは本当に大変です。
1日に何度も抱っこしたり、オムツを替えたり、ベビーカーに乗せたり、降ろしたり・・を繰り返すので、出産するまでどこも調子が悪くなかった人でも、肩こりに悩んだり、腰痛に苦しんだりします。
病院や接骨院に通いたくても子供がいるので、なかなか通院できずに症状がどんどんひどくなるのは良くある話です。
せっかくの楽しい育児が肩こりや腰痛によって苦痛になってしまってはもったいないですよね。
そこで今回は、
・どうしてこんなに肩がこるの?
・腰が痛いけど疲れてて赤ちゃん連れては病院にいきたくない!
・家で簡単なストレッチがしたい!
という方に、子育てによる肩こりや腰痛の原因と対処法について詳しくご紹介します。
この記事の目次
育児中の肩コリや腰痛の原因
まずは、育児中の肩コリや腰痛の原因を知り、早めに対処して楽しい育児をしましょう。
授乳の姿勢
赤ちゃんがまだ小さいと1日に何度も何度も授乳が必要です。
ミルク育児にしても、母乳育児にしても、授乳時の姿勢に無理があるために体に負担がかかり、肩コリや腰痛の原因になってきますので注意しましょう。
特に前かがみで長時間同じ体勢でいると腰に負担がかかります。
赤ちゃんに授乳する時は膝に乗せて飲ませる場合が多いですが、赤ちゃんがまだまだ小さいので、ママは自分の一番楽な姿勢で体勢をキープすることができずに、不自然な体制を1日に何度も、しかも長時間行うことによって腰痛の原因になります。
また、赤ちゃんを膝よりも高い位置にした方が授乳しやすいので、足を組んで授乳する人もいますが、足を組むという行為は骨盤を歪めることにつながります。
骨盤の歪みは体の軸の歪みを招き、その後肩コリや腰痛の原因となるのです。
最近は、片手でスマホを見ながら赤ちゃんに授乳しているというママも増えています。授乳しながら、前傾でスマホを覗き込んでいる姿勢は腰に負担をかけています。
抱っこ
最近のママたちは、外出する時に、体の前で両肩を使って支える抱っこ紐を利用している人が多くいます。
赤ちゃんの体重を分散して楽に安全に設計されているので、体に負担がかからないようにはなっていますが、抱っこ紐を正しい位置につけていなかったり、サイズがあっていなかったりすると腰痛や肩コリの原因になります。
抱っこ紐を購入する際には、できるだけ試着して赤ちゃんを抱っこした状態で、体への負担がないかをチェックしてから購入することをおすすめします。
肩や腰に変に当たる感覚があるものは、購入することを避けたほうがよいですし、赤ちゃんを抱っこ紐に入れる作業がしやすいものがおすすめです。
抱っこ紐は赤ちゃんがある程度大きくなるまで使用しますので、自分にあった使いやすいものを選びましょう。
おんぶ
おんぶする場面は昔に比べて減りましたが、おんぶは特に腰に負担がかかるので注意が必要です。しっかり赤ちゃんと密着させて安定させるようにしましょう。
抱っこ紐を使わずに抱っこする時は、同じ方向にばかり抱っこしているとママの骨盤や背骨の歪みが生じます。
左右のバランスを保つためにも、左右交互に抱っこするように意識しましょう。
新生児の時は軽々と抱っこできていても、あっという間に10キロを超える重さになります。
10キロの荷物を毎日何度も持ち上げたり、気を使って降ろしたりするわけですから、腰への負担は非常に大きなものになります。
急に赤ちゃんを抱き上げたり、赤ちゃんが突然抱っこしている時に予想外の方向に動くなどすると、思わぬタイミングでぎっくり腰になることがよくあります。
一度ぎっくり腰になると癖になって腰を痛めることになりますので、注意が必要です。
子供と手をつなぐ
1歳を過ぎると歩くことができるようになりますが、まだまだよちよち歩きで危なっかしく、体を支えてあげることが多くなります。
2歳頃になると歩くことも上手になり、お買い物に行ったり、公園に歩いて散歩に行くことも多くなります。
歩くことが上手になったとはいえ、一人で道を歩くには危険が多いので、ほとんどの場合ママと手をつないで行動します。
身長が低い子供と手をつなぐと腰をかがめたり、左右に体を大きく傾かせて歩くという非常に不自然な姿勢を保つことになります。
また、子供を散歩させながら、お買い物も済ませようとするとお買い物の荷物も肩に背負ってママは大変です。
いつも同じ方向で手をつないだり、荷物を肩に下げていることによって背骨が曲がったり、骨盤が歪みますので、腰痛や肩コリの原因になります。
家事の姿勢
掃除機やモップをかけたり、アイロンがけをしたり、台所で作業をしていると、ついつい背骨を丸くして、猫背になっていることが多いですし、腰を曲げている姿勢も長くなります。
普段の何気ない家事でも腰や肩に負担がかかっています。
運動不足
育児や家事は予想以上に重労働です。肩や腰に負担がかかるのは仕方ありませんが、同じ家事をしても腰痛にならない人、肩コリに悩まない人がいます。
その多くが普段から運動をしたり、意識的に筋肉を鍛えたり、フットワークの軽い人です。
運動不足で腹筋、背筋などをまったく鍛えておらず、体が凝り固まっている人は腰痛や肩コリを起こしやすくなります。
体が冷えている
体が冷えている人や知らず知らずのうちに体を冷やしてしまっている人は、血行が悪くなっているので肩コリになりやすくなります。
体が冷えていると肩コリをはじめ、体調にも影響するので気をつける必要があります。また、食べ物や飲み物で体を冷やしている場合もあります。
寝ているときの姿勢が悪い人
1日の3分の1は寝ているわけですから、寝ているときの姿勢というのは重要です。
特に、横向きで寝ている場合は背骨や腰骨に負担がかかりやすくなります。
仰向けに寝ている場合でも布団によっては腰に負担がかかっている場合があるので、寝ているだけなのに腰が疲れる場合もあります。
目の疲れ
肩コリは目の疲れからも起こります。目を酷使することによって、目の周りの血流が悪くなり、やがてそれが広範囲に広がり、首や肩の疲れになります。
スマートフォンとパソコンの長時間の使用は目の疲れを招きますので、気をつけましょう。
筋力の低下
若いときはあまり気になりませんが、高齢出産が増えている社会ですので、育児しているママも昔に比べて高齢化しています。
自分が思っているよりも体力や筋肉が落ちているということで、予想以上のダメージが現れます。昔の自分を思い描いて育児をしていると体を痛めることにつながります。
育児中の肩コリや腰痛の改善方法
病院に行きたいけど、なかなか赤ちゃんのお世話や家事でいけないのが現状です。でも、家でできる簡単なマッサージやトレーニングが実は結構あります。
家事の合間の運動や産後ボディサポート用品などを上手に利用してご自分の体を労わってあげてください。
ストレッチ体操
運動不足でいると、代謝も悪くなります、筋肉の衰えにもつながります。
しかし、子供を置いてジムに通うということはできないので、自分でトレーニングしてみましょう。
大げさに考えなくても、ちょっと時間が空いた時に簡単な運動をすることでだいぶ状態が改善されます。
例えば、腰に手をあてて、骨盤をゆっくり回してみると骨盤が元の正しい位置に戻りやすくなります。
早くすると逆に腰を痛めるので、ゆっくり回し、左右や前後に動かしてみるとよいでしょう。動かしてみて、痛気持ちいいところでしばらく止まって刺激します。
肩コリには肩甲骨の辺りを動かしたり、首をゆっくり回したり、何かにぶら下がったりするだけでもずいぶん血行がよくなります。タオルを使ってのストレッチも楽なのでおすすめです。
筋肉トレーニング
腹筋と背筋のバランスが崩れることによって腰痛が起こることあります。
ジムなどで特殊な器具を使わなくても、毎日腹筋運動や背筋運動を少しずつすることが大切です。難しい運動をする必要はありません。
女性雑誌などで取り上げている簡単な筋トレを毎日続けて行いましょう。
骨盤ベルト
妊娠し、出産することによって女性の骨盤を大きく広がり、ゆるみます。
本来、出産した直後に骨盤矯正ベルトでしっかりと骨盤を締め、妊娠前よりも骨盤を安定させるのが望ましいといわれています。
しかし、余程出産後に意識して骨盤矯正をしないと、ほとんどの人は歪んで、広がってしまった骨盤を元のように戻すことができず、体の骨格バランスを悪くします。
骨盤をしっかりケアできていないと、出産後太りやすくなったり、腰痛や肩コリ、ひどい人は足の骨の脱臼などを引き起こします。
骨盤を動かすには出産直後が一番適していますが、骨盤の歪み気がついた段階ではじめても、充分矯正には間に合います。
最初は締め付けられているようで違和感がありますが、骨盤をベルトで支えることによって腰への負担も和らぎ、常に背骨の歪みも気にするようになりますので便利です。
ただし、日中に装着している時でもトイレの時に面倒になりますし、外の洋服のラインに響きますので気になることもあります。
また、長時間つけすぎることで、もともとあった筋力の低下につながることもあります。
自分が楽なとき、思いついたとき、骨盤体操をしながら楽しく無理なく続けましょう。
動きに気を配る
赤ちゃんを不意に抱き上げたり、いつも同じ方向で抱いていたり、不自然な格好でおんぶしたり、目を合わすために中腰になったり、散歩の時に片方の手でばかり手をつないだりすることによって、骨盤、背骨を中心とした身体のバランスを崩しています。
これらの動きは避けけることはできませんが、気をつけることはできます。
へそと恥骨のちょうど真ん中あたりに軽く力を入れ、中腰からゆっくり立ち上がったり、左右のバランスを考えて荷物を持つ方向を変えたり、何かを支えにして立ち上がったり・・・とちょっとした動作への気配りがあれば腰痛や肩コリの原因を排除できます。
不自然な動きをできるだけしない、急に動かないという心構えがあるだけでも、ずいぶんと腰痛や肩コリから開放されます。
ちょっとした動作とともに鼻から吸って、口から「ハァー」と吐く深呼吸を行うことで、体内の酸素の流れを良くし、筋肉もリラックスします。
お風呂に浸かる
育児をしているとついつい忙しいので、入浴はシャワーのみになることが多くなります。
赤ちゃんを一緒にお風呂に入れると、きちんと洗うことも、お湯に浸かることも、タオルで体を拭くことも、自分のことは二の次になってきます。
お風呂にゆっくり浸かることによって、筋肉の凝りが和らぎ、血行もよくなり、肩コリや腰痛も緩和されるのに、育児中のママはなかなかその時間が取れません。
しかし、1日の疲れやコリはその日のうちに解消しておかないと、どんどん疲れが蓄積して悪い方向に出てしまいます。
赤ちゃんと一緒に入る時にゆっくりできないのは仕方ないので、パパや家族がいる時間に赤ちゃんをお願いして、再び自分一人だけでお風呂に浸かるようにするといいでしょう。
そうすれば、体が温まって血行がよくなるだけでなく、精神的なリラックスにもつながります。
気分を解放する時間、一人でゆっくり考える時間を持つことも心身ともにほぐすことになるので、腰痛や肩コリにも非常に有効です。
入浴剤やハーブなどを入れ、血行を良くしたり、香りを楽しむとリラックスタイムにもなります。
睡眠時間をとる
睡眠は体にとって非常に大切です。1日の疲れを睡眠によって回復させる時間ですから、質のよい睡眠を確保することが大切です。
育児中のママには非常に難しい話ですが、毎日の健康管理のためにも睡眠時間を確保しましょう。
睡眠を取ることによって体がリセットされます。1日で歪んだ身体の歪みも寝ることによってリセットされるのです。
腰痛や肩コリにも睡眠は大切です。夜泣きで夜中によく眠れなかったという日は、赤ちゃんと一緒にお昼寝するのもいいでしょう。
質の良い睡眠を取るために、体への負担をカバーするための布団や枕などが売られています。少し高額ではありますが、スポーツ選手などは体をいたわる意識が高いのでそのようなものを利用している人も多いです。
育児で疲れた体を整えるために、機能性の高い布団に変えてみるだけで、腰痛や肩コリがなくなるのならば安い買い物かもしれません。
病院に行く
できるだけ自宅で腰痛や肩コリのメンテナンスをしたいものですが、なかなか自力では回復できない場合はプロの手を借りるのも悪くありません。
整骨院や接骨院で体の歪みを見てもらって、週に1回でも施術を受けると楽になります。マッサージもしてくれる病院もあります。
まとめ
肩こりや腰痛は育児をしているママにとって、本当に辛いものです。今回ご紹介した対処法をしたからといって、すぐに改善できる簡単な痛みではないかもしれません。
肩こりや腰痛は溜め込まないことが大切です。少しずつですが必ず改善していきます。
楽しい育児ができるよう、あきらめずにご自身のためにも赤ちゃんのためにも続けていきましょう。
監修:Etuko(産婦人科歴12年)
プロフィール:産婦人科医は「女性の一生の主治医である」と考える医師のもと看護師として12年勤務。述べ18万人の妊婦さんのサポートにあたる。筋肉、骨フェチで体幹バランス運動にて機能訓練をおこなっています。