青汁は栄養価が高く、普段の食事だけでは補えない栄養素を手軽にしっかり摂取することができます。
ただ、妊婦さんにとってはどうなのでしょうか?お腹に赤ちゃんがいるお母さんは、食べるものにも飲むものにも神経を使います。
赤ちゃんのためには、安心安全で、なおかつ栄養面でも優れているものを口にしなければと、毎日頭を悩ませていることでしょう。
そこで今回は、
・妊娠中に青汁を飲んでもいい?
・妊婦さんに必要な栄養素は入っているの?
・どんな青汁を選べばいい?
といった方に、妊婦さんが青汁を飲んでもいいのか、その効果や選ぶときに気をつけるポイントなどについて詳しくご紹介します。
この記事の目次
妊婦さんが青汁を飲んでも大丈夫?
結論からいうと、妊婦さんが青汁を飲んでも大丈夫です。青汁は、老若男女すべての人が飲める栄養補給食品です。
ですから、偏食気味で栄養バランスに不安がある人も、生活習慣病を改善したい人も、美容やダイエットに取り組む人も、食事の量が減ってきたという高齢の人も、もちろん妊婦さんでも安心して飲めます。
というより、むしろ妊婦さんこそ青汁を飲むべきだといえます。とくに妊娠初期でつわりがきつい時期などは、食欲も落ちて栄養面が心配になってきます。
そういう時こそ、不足している栄養素や積極的に摂りたい栄養素を青汁で補給してあげましょう。
また、妊娠すると便秘になりやすくなりますが、青汁は便秘の対策としても有効です。
ただし、青汁にはたくさんの種類がありますので、お腹の赤ちゃんにもお母さんにも害のない、信頼できるものを選ばなければなりません。
妊娠時に積極的に摂りたい栄養素とは?
お腹に赤ちゃんがいるお母さんには、通常よりも多めに摂取するべき栄養素がたくさんあります。
葉酸(ようさん)
葉酸は、母子手帳にも記載されているほど妊娠中に必要不可欠な栄養素です。
細胞の再生や生産という大きな役割に関わっているため、お腹の赤ちゃんの細胞分裂、つまり成長のために多くの葉酸が必要となるのです。
妊娠初期にはとくに充分な葉酸の摂取が望まれており、豊富に摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害という先天性疾患や、ダウン症など先天的な異常が発生するのを予防する作用も期待できるとされています。
ちなみに厚生労働省では、成人女性の1日の摂取基準が240μgなのに対して、妊婦さんには2倍の480μgを摂取することを推奨しています。
しかし実際問題として、毎日の食事でその量をすべて補うのはかなり困難です。
ビタミンB12
葉酸とともにヘモグロビンを作るビタミンB12は、悪性貧血の予防と改善にも効果があります。
肩こり・腰痛・神経痛など末梢神経の修復をサポートする役目もありますので、市販の鎮痛薬が飲めないお母さんにはありがたい栄養素です。
成人女性の1日の摂取基準が2.4μgなのに対して、妊婦さんには2.8μgを摂取することが推奨されています。
ビタミンB12は摂り過ぎても副作用の心配がほとんどありませんので、積極的に摂取したい栄養素です。
鉄分
鉄分はヘモグロビンの材料となる成分ですが、吸収率が低いため他の栄養素よりも不足しがちになってしまいます。
また、鉄分は体内で作ることができないので、食事などで十分に補う必要があります。赤ちゃんの成長が著しい妊娠中期や後期にはとくに必要です。
成人女性の1日の摂取基準が6~6.5mgなのに対して、妊娠中期や後期の場合は21~21.5mgの摂取が望ましいとされています。
亜鉛
亜鉛は、細胞分裂をする際に必要な必須ミネラルで、お腹の赤ちゃんの細胞分裂を手助けする重要な栄養素です。
ただ、体内では作ることができないためミネラルの中でも不足しがちな栄養素といえます。
成人女性の1日の摂取基準が8mgなのに対して、妊婦さんには10mg摂取することが推奨されています。
カルシウム
カルシウムは赤ちゃんの骨格を作る上で大切な栄養素であり、血圧を下げてストレスを和らげる効果もあります。
お母さんはお腹の赤ちゃんにたくさんのカルシウムを与えるので、充分な摂取を心掛けていなければ、出産後に歯がボロボロになってしまうこともあります。
成人女性の1日の推奨量は650mgですので、妊婦さんは少し多めの900mgほどを目安にしましょう。
食物繊維
妊娠中は女性ホルモンの影響で便秘になりやすくなります。
お母さんの腸内環境が悪いと赤ちゃんが受け継いでしまうこともありますので、食物繊維を充分に摂取して便秘知らずになりましょう。成人女性の1日の摂取基準は18g以上です。
青汁の3大原料に含まれる栄養素とは?
青汁には、妊娠時に積極的に摂りたい栄養素が豊富に含まれています。青汁の原料としては、「ケール」「大麦若葉」「明日葉」がよく使われていて有名です。
ケール
ケールはキャベツの原種ともいわれるアブラナ科の植物で、葉酸・食物繊維・カルシウム・βカロテン・ビタミンC・ビタミンEが多く含まれています。
ケール100%の青汁も市販されています。
大麦若葉
大麦若葉とは、イネ科の穀物である大麦の若い葉の部分で、鉄分や食物繊維が多く含まれています。
大麦若葉100%の青汁もさまざまなメーカーから販売されていますので、貧血や便秘になりやすい妊婦さんにはおすすめです。
明日葉
明日葉は日本原産のセリ科の多年草で、「今日摘んでも明日には新しい芽が出る」といわれるほど、成長が早くて生命力の強い薬用植物です。
明日葉には、葉酸・食物繊維・βカロテン・ビタミンC・ビタミンE・カルシウムがとてもバランスよく含まれています。
明日葉100%の粉末、青汁や健康茶、明日葉の苗も販売されています。
青汁は妊婦さんにとってどんな効果が期待できる?
なんといっても、お腹の赤ちゃんが育つために必要な栄養素が、手軽に効率よく摂れるという利点があります。
つわりで食べられないときでも、体調が悪くて食事の用意ができないときでも、青汁を飲んで栄養を補えれば一安心です。
牛乳やヨーグルトなどをプラスすれば味のバリエーションが広がって楽しめるうえに、青汁の栄養素と他の食品の栄養素を同時に補給できます。
そしてなにより、青汁に使われるケール・大麦若葉・明日葉には、妊娠中に積極的に摂りたい「葉酸」が豊富に含まれています。
葉酸にはダウン症など赤ちゃんの先天性異常を防ぐ働きがあるといわれており、厚生労働省では妊婦さんに1日あたり480μg(0.48mg)の摂取を推奨しています。
とはいえ普段の食事からこれだけの量を摂るのはかなり難しいため、サプリメントで補うようにともすすめられています。
ですが、青汁に使われているケールには青汁100gあたり120μgの葉酸が、明日葉には100μg、大麦若葉にも40μgの葉酸が含まれています。
つまり、この3大原料を使って作られた青汁ならば、厚生労働省が推奨している葉酸摂取量をクリアするのも難しくはないということです。
ただし、青汁にもさまざまな種類がありますので、成分表をしっかりチェックして葉酸の含有量を確認してください。
青汁をおいしくする組み合わせは?
妊婦さんの栄養摂取にぴったりの青汁ですが、青汁特有の青臭さが気になる、味が好みではないなど、苦手な方もいます。
そんな方でも飲みやすい、おすすめの組み合わせをご紹介します。
青汁+牛乳「抹茶ミルクの味わい」
水の代わりに牛乳で青汁を溶かして飲むだけの、もっとも代表的なアレンジ方法です。
牛乳のまろやかさと甘味が青汁の青臭さを和らげてマイルドにし、抹茶ミルクのような味わいになります。
青汁だけでなく、牛乳に含まれるカルシウムやタンパク質などが同時に摂れるのもいいです。甘い方が好きな人はハチミツをプラスしてみましょう。
青汁+ホットミルク「睡眠効果と美容効果」
眠れなかったりなんとなく不安な気持ちになった時は、牛乳を温めたホットミルクと青汁を組み合わせて飲んでみてください。
ホットミルクと青汁から作られるセロトニンで安眠効果が得られ、寝つきが良くなります。
ゴールデンタイムにぐっすりと眠ることができれば、青汁に含まれているビタミンやミネラル、抗酸化作用をもつメラトニンによって美容効果ももたらされます。
青汁+豆乳「便秘改善」
便秘でつらい時は豆乳と合わせてみましょう。豆乳に含まれるオリゴ糖が腸内環境をさらに改善してくれます。
牛乳より低カロリーで栄養豊富、女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンも多く含まれているため、妊婦さんにはもってこいのドリンクとなります。
アンチエイジングも期待するなら、活性酸素を取り除く働きがある「セサミノール」を多く含む黒ゴマをつぶしてプラスしましょう。
青汁+野菜ジュース「野菜たっぷりの健康ドリンク」
野菜ジュースの自然な甘さで青汁の苦みが抑えられて、すっきりと飲みやすくなります。青汁と野菜ジュースの栄養素をまとめて摂れる、いかにも健康ドリンクといった一杯です。
ただし、青汁のビタミンを壊してしまう恐れがある「にんじんジュース」だけは避けてください。
青汁+フルーツジュース「適度な甘みと酸味」
青汁はどんなフルーツとも比較的相性が良いのですが、特にリンゴジュースとの組み合わせはベストマッチです。
ただ大麦若葉を原料とした青汁でないと、青臭いニオイが目立ってすごい香りになってしまいます。リンゴが持つ抗酸化作用や整腸作用なども嬉しい効果です。
青汁+ヨーグルト「腸内環境の改善」
この組み合わせもある意味定番であり、豆乳と同様に妊娠中の便秘の改善に効果的です。
ヨーグルトに含まれている乳酸菌は善玉菌の一種で、腸内環境を整えてくれます。
そして、青汁に多く含まれている食物繊維が乳酸菌など善玉菌のエサとなって、善玉菌はより活発になります。
つまりヨーグルト単品で食べるよりも、青汁と一緒に摂取した方がさらに腸内環境が整えられるということです。
青汁+ポタージュスープ「まるでほうれん草スープ」
温かいポタージュスープと青汁、一見合わなそうですが、とても美味しいと評判になっています。とくにパンプキンポタージュがおすすめです。
ポタージュと青汁に入っている野菜の自然の甘みが調和して、まるでほうれん草のポタージュスープを飲んでいるかのような味わいに変化します。
寒い朝に飲めば体の芯からポカポカと温まり、青汁の栄養素も取り込むことができるので一石二鳥です。
青汁はどのタイミングでどのぐらいの量を飲めばいい?
青汁を飲むタイミングに決まりはありません。というのも、青汁の飲み方にはさまざまなバリエーションがあるからです。
朝に水で割って飲んでもいいし、牛乳や豆乳を足して飲んでもOK。小腹が空いたときにポタージュと組み合わせて飲むのも、寝る前にホットミルクと合わせて飲むのもオススメです。
ですが、1日に適した量だけは守ってください。どんなに身体にいいものだとしても、飲みすぎや食べ過ぎは、かえって健康を損ねる原因となってしまいます。
特に妊娠中は、青汁に限らず身体にいいからと、摂り過ぎないよう気をつけましょう。成分表と適量はちゃんと確認して、本当に良い物を適量で摂取してください。
妊婦さんが安心して飲める青汁を選ぶときのポイントは?
さまざまなメーカーから販売されている青汁ですが、妊婦さんが安心して飲むために青汁を購入する際のポイントについてみていきましょう。
カフェインが含まれていない青汁を選ぶ
青汁には、飲みやすくするために緑茶や抹茶を加えてあるものもあります。
妊娠中のカフェイン摂取は赤ちゃんの発育の妨げとなり、自然流産につながる危険性もありますので、できるだけカフェインを含んでいない青汁を選びましょう。
産後や授乳中もなるべく避けてください。
糖質が少ない青汁を選ぶ
青汁がもつ独特の苦さを和らげるために、果糖やブドウ糖を使っている青汁もあります。
妊娠中に糖分を摂り過ぎると、体重が急激に増加して妊娠糖尿病になったり、妊娠高血圧症候群になるリスクが上がってしまいます。
また、流産や早産といった合併症を引き起こす要因ともなりかねません。
赤ちゃんが巨大児や低血糖症になる可能性もあり得ます。母子ともに健康で出産日を迎えるために、糖分を多く含まない青汁を選びましょう。
国産原材料を使用し国内加工された青汁を選ぶ
市販されている青汁には「国内産」と「国外産」があります。安心・安全なものだけを摂り入れたい妊娠中は、原材料生産・加工地ともに国内の青汁を選ぶようにしましょう。
国内で生産・加工された青汁は、食品衛生法などの厳しいチェックをすべてクリアしている信頼できる青汁です。
国外産の青汁は、値段が手頃で購入しやすいメリットはあるものの、日本国内では使用を認められていない農薬や成分が入っている恐れがあります。
また、ぱっと見は国産野菜を使用しているかのような青汁でも、実際には中国産の野菜を使っているものもあります。
購入の際には、成分表だけでなく原材料生産・加工地もしっかり確認しましょう。
無農薬・無添加の青汁を選ぶ
合成保存料や安定剤・原材料を生産する時に使われる農薬・人工甘味料などの添加物は、お腹の赤ちゃんに悪い影響を及ぼす可能性があります。
妊娠中は、無農薬・無添加にもこだわって青汁を選びましょう。食品添加物についてはほとんどの成分表に表示されています。
ですが、農薬に関しての情報は記載されていない場合が少なくありません。明らかに「無農薬」と記載されているもの以外は購入しない方が無難です。