妊娠中は体調が悪い時も多く、体が自由にならないことや生活にいろいろな制限があるので、ストレスが溜まりやすくなります。
しかし、胎教のためにもできるだけ精神的にもリラックスして、楽しい時間を過ごしたいものです。
そこで、妊娠中でもリラックス効果や、体の不調に効能があるとされるアロマオイルを使って過ごす妊婦さんもいます。
しかし、アロマオイルは薬ではありませんが、体にいろいろな影響があることもあるので、妊娠中は気をつけて使用する必要があります。
そこで今回は、
・妊婦さんでもアロマオイルを楽しめる?
・妊婦さんにおすすめなアロマは?
・妊婦さんが使ってはいけないアロマは?
といった方に、妊娠中にアロマオイルを使うときの注意点や、妊娠中でも使ってもいいアロマ、危険なアロマなどについて詳しくご紹介します。
妊娠中は身体が敏感になる
妊娠中は、同一人物でも妊娠していないときと体調や味の好み、肌の質、精神的なストレスなどの面において敏感になり、ちょっとした刺激でも体調を崩したり、精神的に不安定になったり、肌荒れしたりということが良くあります。
アロマオイルはいろいろな使い方があります。
アロマオイルを熱し香りを空間に広げることで気分が良くなったり、体調が良くなるというように匂いを楽しむ使い方もありますが、アロマの精油を薄めて、皮膚に直接塗って使うこともあります。
肌にアロマの精油を薄くしたものを塗ることで、肌から成分が浸透し、体の状態を良い状態にするという方法です。
しかし、妊娠中は体全体が通常とは違って敏感になっていることがあるので、肌にアロマを直接塗るという方法で使用することはなるべくやめておきましょう。
妊娠によって肌質が変わっている場合は、アロマオイルを肌に付けるだけで肌荒れを起こす場合もあります。
使用前にパッチテストをおこなうことをおすすめします。
妊娠中はアロマオイルを使用するときは、アロマの香りを嗅ぐという使い方をしましょう。
妊娠初期のアロマは特に慎重に利用する
妊娠初期はつわりなどの症状がある人が多いので、体調が崩れたり、気分が優れないという人も多いものです。
西洋医学の薬をなるべく使用したくない、使用できないという理由から、アロマオイルなどで体調を整えたいと思う妊婦さんもいます。
しかし、妊娠初期はまだまだ妊娠が安定していない時期なので、ちょっとした外部からの刺激で体調を崩したりすることもありますし、子宮収縮作用のあるアロマもあるため、お腹が張ってきたり、早産や流産の危険もあるので、妊娠初期にアロマオイルを使用する際は、特に気をつけて慎重に使用することが大切です。
妊娠以前には非常に好きだった香りがとても不快に感じたり、気分が悪くなるような場合も使用を中止しましょう。
妊娠中期の妊娠安定期に入ってくると、比較的体調も気分も良くなることが多いので安心して使用できるようになります。
妊娠後期になってくるとアロママッサージも大丈夫
妊娠後期に入ってきて、母子共に健康な状態を保っている場合は、アロマの精油を薄めたアロマオイルを肌に直接つけてマッサージしたり、保湿に使ったりすることができます。
マッサージなどをする場合は、キャリアオイルといって精油と植物性のオイルを混ぜて使います。
オリーブオイルやアーモンドオイル、ホホバオイル、マカデミアナッツオイルなどが良く使われます。
これらの植物性オイルは精油を加えなくても、マッサージオイルとして単独で使用できますが、香りのするアロマオイルの精油を混ぜて使用することで、より広範囲の満足度が得られます。
妊娠中に使ってもいいアロマ
では、妊婦さんでも使えるアロマオイルとそれぞれの効果についてご紹介していきますので、自分の症状に合わせて活用してみてください。
つわりを和らげるアロマ
つわりの症状は妊娠初期の中でも一番辛い症状です。
吐き気がしたり、食欲がなくなってしまうので気力も体力もなくなってしまう人も珍しくありません。
気分をすっきり爽やかにするためには柑橘系のフレッシュな香りが向いています。
○ レモン
○ グレープフルーツ
○ ベルガモット
○ オレンジ
○ マンダリン
○ タンジェリン
○ ティートリー
○ ネロリ
○ ユーカリ
○ ローズウッド
○ プチグレン
などのアロマオイルが、つわりを和らげるために有効で、なおかつ妊娠中でも安心して使えるアロマオイルです。
レモンなどは気分を明るくします。
同じように、グレープフルーツもリフレッシュ効果が高いアロマですが、食欲を抑える効果もありますので、食べつわりになっている人向きのアロマです。
これらのアロマオイルを好みに合わせてブレンドして使用することもできます。
お気に入りの香りができるとつわりで気分が落ち込んでいる時にも明るい気分になれます。
吐き気を抑えるアロマ
つわりによって気分が優れないというだけではなく、実際に吐き気が酷いときや、妊娠後期になってお腹が大きくなってくると、胃が圧迫されることによって吐き気が強くなる場合があります。
吐き気を抑えるためには、
○ ジンジャー
が有効です。ジンジャーは胃での消化促進作用があります。
ジンジャーの他にもセロリやペッパーなども有効です。
リラックス効果のあるアロマ
妊婦さんは体調が悪いときもありますし、何より妊娠のために自由が利かないというところから気分が落ち込みやすくなります。
ストレスもたまりやすい状態にあるのでアロマオイルを使ってリラックスしましょう。
○ ネロリ
○ プチグレン
○ ローズウッド
○ マンダリン
○ ベルガモット
○ コリアンダー
○ フランキンセンス
○ リトセア
このほかにも、柑橘系の香りはリラックス効果が高いです。
また、妊娠中だけでなく出産後の育児中のリラックス効果もありますので、是非長く使ってみましょう。
柑橘系のアロマは通経作用(月経を促進する作用。出産に影響を与える可能性がある)がないので妊娠中でも安心して使用できます。
むくみを解消するアロマ
妊娠後期になるとお腹が大きくなることで、血流が悪くなったり、リンパの流れが悪くなりむくみやすい体質になります。元からむくみやすい体質の人は要注意です。
○ ジュニバ
○ パチュリ
などのアロマオイルを植物性のキャリーオイルに混ぜて、マッサージしましょう。
むくみやすい脚を中心にマッサージすると効果的です。
アロママッサージをすると血流やリンパの流れが良くなるだけでなく、保湿効果も期待できます。
風邪を予防するアロマ
風邪は万病の元といいますが、妊娠中は特に風邪には気をつける必要があります。
風邪は引き始めが肝心といいますが、ちょっと調子が悪い、のどが痛いという症状を感じたときは早めに対処することで風邪が重症化しません。
○ ローズウッド
○ ティートリー
○ ラヴィンツァラ
は、体の免疫力を上げたり、のどの痛みや鼻詰まりという風邪の初期症状に効くとされています。
妊娠中に危険なアロマの特徴
アロマには、妊娠中には使っていけない種類のものもあります。
その種類と理由についてご説明しますので、妊娠中にアロマオイルを利用するときは必ず注意しましょう。
通経作用のあるアロマ
妊娠は胎児をしっかり子宮で育てる作業ですが、アロマの中には通経作用に優れたアロマがあります。
通経作用というのは生理を促したり、生理不順を整える効果で、子宮を収縮させて子宮内のものを外に出す作用のことです。
妊娠していない状態は、通経作用があると生理を促すので良いのですが、妊娠中は生理が起こるような作用は、早産や流産を起こす危険があるので妊婦はこれらのアロマを使用してはいけません。
○ ラベンダー
○ ローズマリー
○ カモミール
○ シナモン
○ クラリセージ
○ ローズ
香りを嗅ぐだけで流産するという危険はめったにありませんが、妊娠初期は非常に体調が不安定な時期でもありますので、このようなアロマを使用することは避けましょう。
子宮を収縮させるアロマ
妊婦さんの子宮を収縮させるということは、出産や流産を促します。
○ シナモン
○ グローブ
○ ジャスミン
○ パルマローザ
出産する時に分娩や子宮収縮を目的に、これらのアロマを利用する産院はありますが、出産時期ではない妊婦さんには危険なアロマですので使用は避けましょう。
血圧を上げる効果のあるアロマ
妊婦さんは血圧が上がりやすいので、血圧を上げる作用のあるアロマはなるべく使用しないようにしましょう。
○ ペパーミント
○ アルペンシスミント
ミントというと、多くの人が爽やかですっきりした気分になることが想像できます。
気分も爽やかになるので、妊娠初期の人などは使用することもありますが、血圧の高い人はより血圧を上げる危険があるので注意しましょう。
女性ホルモンと似た働きをするアロマ
妊娠と女性ホルモンというものは、非常に密接な関係にあります。
アロマを利用することで女性ホルモンを整える作用があることは、一見非常に良いことのように思われますが、妊娠が安定している場合、アロマの働きによって女性ホルモンバランスを乱す恐れがあります。
○ ゼラニウム
○ セージ
○ アニス
○ フェンネル
○ ニアウリ
○ クラリセージ
ですから、女性ホルモンに似た働きをするアロマは妊娠中の使用は避けましょう。
妊娠中のアロマオイルの活用方法
それでは、妊娠中の具体的なアロマオイルの使い方をご紹介します。
芳香浴
アロマオイルを使う場合、香りを楽しむという芳香浴が一番親しみやすい方法になります。
アロマは熱を加えることで香りがより立つので、アロマポットなどがある場合は利用すると簡単にアロマの香りを楽しむことができます。
ない場合でも、わざわざ用意しなくてもアロマオイルをティッシュやコットンに数滴しみこませて身の回りにおいておくだけで、十分に香りを楽しむことができます。
妊娠中は香りにも敏感になりますので、最初はほんの1~2滴を垂らしたもので体調の様子を見ながら使用しましょう。
また、コップなどに80度ほどのお湯を入れたものに数滴のアロマオイルを入れて使用するという方法もあります。
アロマを薄めたものを散布する
アロマオイルを、無水エタノールと精製水を混ぜたものに数滴垂らして薄めたものを、カーテンや部屋に散布して使用する方法があります。
無水エタノールや精製水は薬局で簡単に購入できます。
無水エタノール10ミリリットルに対して、精製水10ミリリットルを混ぜたものに、数滴のアロマオイルを垂らすようにして水溶液を作ります。
散布する際はスプレーボトルなどを利用しましょう。
浴室でアロマを楽しむ
妊娠中期から後期になってくると、体調も安定してきますので、お風呂のお湯に数滴のアロマオイルを垂らして入浴の際に香りを楽しむという方法があります。
妊娠初期から妊娠中期の間で、お風呂のお湯にアロマオイルを入れることに抵抗がある場合は、浴室の隅にアロマオイルを数滴垂らして、温かいシャワーのお湯をかけて香りを広げる方法もあります。
浴室ですので、特にシャワーをかけなくても、浴室の室温だけで香りが普通の部屋で楽しむよりも、アロマの香りを楽しむことができます。
湯船で体を温めて血流も良くなっているので、リラックス効果が高くなります。
妊婦さんのアロママッサージの楽しみ方
妊娠中期から妊娠後期になると、今まで香りだけを楽しんできたアロマオイルをマッサージオイルとして使用することができるようになります。
妊娠後期になると、お腹が大きくなってくることで腰や背中が痛くなったり、脚がむくむということが多くなります。
このようなとき、アロマオイルを使ってマッサージすることによって症状が緩和される場合もあります。
アロママッサージを施術してくれるサロンもありますが、簡単なマッサージならば自分や家族でもできますので、自宅で楽しむことも充分可能です。
自宅でアロママッサージを行う場合は、体調に合わせたアロマを選び、キャリーオイルと混ぜて事前にマッサージオイルを作る必要があります。
アロマ専門店などでどのような香りがいいのか、キャリーオイルはどのようなものは良いのかを、アドバイスを参考にしながら選んでおくことも大切です。
また、お腹や腰などをマッサージする場合は、体調が良いときを選ぶこと、お腹が張っていないことを確認してからマッサージしましょう。
お腹が張っているときにお腹をマッサージして刺激すると、お腹がどんどん張ってきてしまうので気をつけましょう。
まとめ
妊娠中は初期から後期まで体調が不安的になったり、ストレスが溜まったりすることがたくさんあります。
自宅で簡単にアロマオイルを利用して症状をやわらげることができるので、是非利用したいものです。
しかし、アロマオイルによっては妊娠中に通経作用があったり、子宮収縮作用があったり、血圧を上げる作用があったり、ホルモンバランスを崩してしまうことがあります。
妊娠する以前は大好きだった香りでも、妊娠中の変化によって好みが変わったり、体にはリスクがあるアロマオイルもありますので、しっかり使用するアロマオイルの効能を調べてから利用することが大切です。
アロマ専門店で、妊婦さんでも使用することができるものかアドバイスを受けるというもの良い方法です。
もし、アロマオイルを利用して体調が悪くなった場合は、ただちに使用を中止して医療機関など専門機関に相談しましょう。
監修:natsumi(看護師)
プロフィール:産婦人科にて勤務後、保育園看護師として勤務中。母子に寄り添うことをモットーに日々働いています。