妊娠中に電気治療しても大丈夫?お腹の赤ちゃんに与える影響は?



妊婦さんからよく聞く悩みに、腰や膝など身体の痛み、いつまでも治らない頑固な肩こりなどがあります。

毎日痛みやコリに悩まされながら生活するのはツライもので、手っ取り早く整形外科や接骨院などで電気治療を受けてスッキリとしたいところです。

しかし、妊娠中となれば、やはり電気を使う治療には抵抗がある方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、

・妊娠中に電気治療を受けても大丈夫?
・どんな電気治療があるの?
・お腹の赤ちゃんに悪影響はない?

といった方に、妊娠中の電気治療は受けてもいいのか、赤ちゃんに影響はないのかなどについて詳しくご紹介します。

妊婦さんにかかる身体への負担とは?

妊娠すると、出産までの約10ヶ月の間にみるみる体重が増えていきます。

体重の増加が少ない妊婦さんでも7㎏ほどは増え、増加が激しいケースでは約15㎏も体重が増えてしまったという妊婦さんもいます。

約10ヶ月という短い期間で7~15㎏も体重が増えてしまえば、身体のあちこちに不具合や不調があらわれても不思議ではありません。

しかも、通常の太っただけの状態であれば、身体全体がふっくらしてくるものですが、妊婦さんの場合はお腹だけが大きくなります。

そのため身体の重心が前になり、その重みを支えるためにお腹を突き出して背骨を反らせ、かろうじてバランスをとることになるのです。

この姿勢がずっと続けば、腰にも膝にも負担がかかるのは当然のことでしょう。

またお腹が大きくなってくれば、血管も圧迫されやすくなって血流も悪くなりがちです。まして妊娠前のように動き回ることもできないのですから、自ずと運動も制限されます。

そうなればさらに血行は滞りやすくなり、ひどい肩こりやむくみなどが引き起こされるのです。

電気治療とは?

リハビリなどで耳にする「電気治療」とは物理療法の一つです。筋肉に電気刺激を与えて動かし、ほぐすことによって血行を良くしたり痛みを和らげる治療法です。

患部を直接刺激することができない場合は、患部近くの筋肉を動かすことで回復を促すことができます。

腰痛や膝の痛みなどの痛みを軽減させたり、肩こりなどで凝り固まった筋肉の緊張を柔らげる効果もあります。

また、電気治療は、自律神経系や内分泌系の働きを良くする、調整作用効果もあるとされているため、花粉症の改善や、下痢や便秘といった症状にも効果が期待できます。

電気治療のメカニズムとは?

人間の体内にある、脳や筋肉などを形成している細胞はすべて電気を帯びた状態にあり、常に弱い電気を発生させています。

自分の身体が思い通りに動いてくれるのも、体内の電気によって脳へと動きの指令が伝達されるからなのです。

そして、ケガなどで細胞が損傷すると、傷を治すために体内の細胞から微弱な電流が流れて、損傷部分の自然治癒を行います。電気治療とは、このような人体の構造を利用したものです。

身体がうまく電気を発生させることができずに痛みや麻痺が起きた場合、代わりに身体の外から生体電気と似た電気刺激を与えてやり、筋肉を動かして痛みやコリを軽減させるというものなのです。

電気治療の種類とは?

電気治療は、周波数の違いや使用する機器によっていくつかの種類に分かれています。

「低周波治療法」痛みやコリに効果的

低周波治療とは、低い周波数の電気を用いる治療方法で、主に知覚神経に対して刺激を加えます。

一般的な接骨院などでよく使われている「TENS(経皮的抹消神経電気刺激)」は、低周波を流すことで血液の循環を促し、自律神経を活性化させて凝り固まった筋肉を和らげ、痛みやコリを軽減する電気治療の一種です。

低周波の電気を流すと、筋肉は刺激を受けて緩んだり緊張したりを繰り返します。緩んだときには大量の血液が筋肉に送り込まれ、緊張すると筋肉からは老廃物を取り込んだ血液が排出されます。

この筋肉の伸縮を繰り返しを行うことで、血液はスムーズに流れるようになるのです。

また、低周波の電気で感覚神経が刺激されて、痛いという感覚が脳に伝わりにくくなり、痛みも感じにくくなるとされています。

腰痛や膝の痛みだけでなく、打撲や捻挫の痛みも和らげ、血行が改善されるためコリもほぐすことができます。

「干渉波治療法」慢性的な痛みやコリも解消させる

干渉波治療器による電気治療とは、周波数の異なった2種類の電流を流して、体内で交差(干渉)させることで発生する、干渉波を利用する治療法です。

低周波治療と同じように筋肉を伸縮させ、筋肉をほぐして血流を促すことで痛みやコリを改善します。

また、2つの電流を交差させることで患部を特定して狙うことができるので、集中的に刺激を与えることができます。

そして、低周波治療よりも深部まで治療することでより高い効果が得られます。

ちなみに、干渉波は体内で発生するため、低周波治療のようなピリピリとした痛みはほとんどなく揉まれているような感覚です。

「微弱電流療法」自然治癒力を高める

微弱電流療法とは、体内に流れている生体電流(人間の体内の電気を帯びた細胞から発せられる電流)に似た微弱電流を流し、細胞組織の修復を早めてケガや痛みを治す治療法です。「マイクロカレント療法」とも呼ばれます。

何らかの原因で細胞が損傷した場合、正常な組織が損傷した細胞組織に、微弱な電流を流して治そうとします。この微弱な電流が、生体電流といわれる自然治癒力の一つです。

ですが、この生体電流の効果は長く続きません。そこで、生体電流によく似た微弱な電流を人工的に作り出し、体内に微弱電流を流すことで自然治癒力をリセットして長く継続させ、痛みや疲労などの症状が回復するという仕組みになっています。

微弱電流は、低周波治療器や干渉波治療器に使用される電流(ミリアンペア)の1/1000という微弱な電流(マイクロアンペア)を使用するため、とても刺激が少なくなっています。

ビリビリといった感覚はほとんどなく、無痛で無感覚ですが、細胞レベルに働きかけるので早い効果が得られます。

ケガや痛みの治療に高い効果を発揮することから、スポーツの世界においても積極的に使用されています。

また、全身に微弱電流を流すことによって自律神経が整えられるため、不眠症や体質の改善にも有効だといわれています。

「高圧電流刺激療法」深部の痛みやコリに効果的

高圧電流刺激療法は、高い電圧の電気刺激をごく短い時間流すことで、普通の低周波では届きにくい筋肉の奥深くの痛みやコリを解消する治療法です。

皮膚への刺激が少ないので、電流が流れている感覚を感じることなく深部の治療が行えます。神経にも直接働きかけるので、自然治癒力を高める効果もあります。

「立体動態波刺激療法」幅広い範囲で治療できる

電流を3次元的に交差(干渉)させることで複雑な干渉波を発生させて、立体的に患部の治療を行うことができるのが立体動態波刺激療法です。

浅い層から深い層まで幅広い範囲で治療できるというメリットがあり、筋肉や神経などの痛み、血行促進にも大きな効果があります。

「神経筋電気刺激療法」リハビリや筋トレに有効

ボディメイクやダイエットでも話題になっている「EMS(神経筋電気刺激療法)」とは、筋肉や運動神経に電気刺激を与えることで筋肉を収縮させる治療法です。

主に脳血管障害などで自分の意志で運動ができなくなってしまった人の、麻痺して動かない部分のリハビリとして使われています。

ですが近年、オリンピック代表選手が使用して高い効果が得られたことにより注目を集めるようになり、筋肉トレーニングのための運動器としての利用も増えています。

妊娠中に電気治療を受けても大丈夫?

電気を流すということは電磁波が出ているということで、妊娠中はとくに電磁波を心配する方も多くいます。

ですが電磁波は、電子レンジ・テレビ・ホットカーペット・コタツ・パソコン・無線LAN・タブレットなど、たくさんの身近な電化製品からも出ています。

とくに毎日使うスマートフォンなどは顔や頭に近づけて使うことがあり、長時間操作する際には腕が疲れるので、お腹の近くで固定して行うことも多いため、お腹の赤ちゃんへの電磁波の影響が心配されています。

ただ、電磁波が母体や赤ちゃんに悪影響を及ぼすかどうかは、まだ解明されていません。安全だとも危険だとも言い切れないグレーゾーンといったところです。

なので、スマートフォンや電化製品をまったく使わずに生活するのが困難な現代で、電磁波を気にしすぎるのはかえってストレスになってしまうかもしれません。

ただし、なるべく電化製品の近くに長時間いない、スマートフォンなどはお腹に近づけないなどの配慮はしておきましょう。

電流による赤ちゃんへの影響

一般的な整形外科や接骨院などで電気治療によく使われているのは「低周波治療器」で、最大電圧が85V、最大電流量が75mAとなっています。

この数値は最大出力なので、通常はもっと低い電流で行うことになります。それによってお腹の赤ちゃんに影響を与えるかどうかという疑問には、「まずあり得ない」といわれています。

赤ちゃんがいる体内の深いところまで電流は届かず、筋肉量が少ない赤ちゃんの心筋などへの影響はないとされているためです。

実際にアメリカで、低周波治療器の約20倍以上もの電圧である「AED(自動体外式除細動器)」を妊婦さんに使用した事例がありましたが、お腹の赤ちゃんへの影響はありませんでした。

ちなみに、AEDの最大電圧は1200~2000Vで、最大電流量は30~50Aです。とはいえ、「絶対に100%安全」と言い切れるものでもなく、未知数の部分があるのは否めません。

ですから当然、「万が一を考えて電気治療はしない」という選択肢もあるのです。

電磁波による赤ちゃんへの影響

電磁波が赤ちゃんに与える影響はいまだグレーゾーンで、安全とも危険とも判断がついていません

妊娠中に電子機器から出る電磁波に触れることによって、流産・早産・奇形・小児白血病・低体重・脳腫瘍・小児がん・先天性異常などの症状があらわれる危険性がある、といわれることもありますが、WHO(世界保健機構)では「これらの障害や疾患と電磁波の関連性には根拠がない」というのが公式見解です。

近年では、日常生活で浴びる程度の電磁波は気にする必要がなく、不安からストレスを抱える方がかえって有害だと考えられています。

妊娠中の電気治療に関しても、やはり赤ちゃんに与える電磁波の影響は解明されていません。

つまり、妊娠中に電気治療を受けるかどうかは、お母さんの身体の状態によってお母さん自身が決めるしかないということになります。

ひどい腰痛や肩こりで毎日がつらい妊婦さんへ

妊娠中に電気治療を行うことが可能か不可能かといえば「可能」です。ただし、妊婦さんには基本的に電気治療を行わないというところもあります。

ですから、まずは産科の担当医に相談してみましょう。電気治療を受けられる状態か、電気治療を受けた方がいいか、どのような治療を受ければいいかなどを聞いてから判断してください。

そして、電気治療を受けた方がいいとなった場合には、担当医に整形外科などを紹介してもらうか、妊婦さんの受け入れをしていて電気治療を行ってくれる整形外科・接骨院・整骨院・整体などを探しましょう。

事前に電話などで確認すると安心です。その際には、妊娠何週目か、どのような症状があるか、どのような治療を希望しているかも伝えておきましょう。

妊娠前から通っているかかりつけで治療をしてもらう場合にも、妊娠していることや詳しい症状などをしっかり説明してから施術を受けましょう

電気治療をしなくても腰痛や肩こりは軽減できる

インターネットで検索してみると、妊婦さんを受け入れている整骨院や接骨院はたくさんあります。ところが、そのほとんどが妊婦さんに電気治療は行わないとしています。

その理由は、妊婦さん自身が電気治療に不安を感じているためです。電気治療が赤ちゃんに悪影響を与えるかどうかという以前に、電気を流す行為によって妊婦さんの精神状態に悪影響を与えてしまうからです。

不安からくる緊張状態で電気治療を受けても効果はありませんので、手技による施術やマッサージが行われることになります。

電気治療に絶大な信頼をおいている妊婦さんでない限り、施術やマッサージで症状は軽減されます。また、自宅でできるストレッチの方法などを施術者に聞いておくのもおすすめです。

腰痛には「猫のポーズ」、肩こりには「肩回し」という代表的なストレッチがありますが、その時の状態や症状によって、より効果的なストレッチ法を教えてくれることでしょう。

整骨院や接骨院に頻繁に通うのは、お腹の大きな妊婦さんにとって重労働です。痛みの度合いや症状に合ったストレッチを知っておくことは、きっと痛みやコリを和らげるための強い味方となってくれますよ。

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