妊娠中のステロイド

妊娠中にステロイドを使っても大丈夫?ステロイドの基礎知識




妊娠すると、マイナートラブルとのお付き合いも始まります。特に、乾燥肌や肌荒れなど肌トラブルも酷くなりやすく、皮膚科を受診するママもたくさんいます。

基本的に、皮膚の赤みといったトラブルに対して、病院では塗り薬が処方されます。その塗り薬の1つに用いられるのがステロイドです。

副作用についてさまざまな意見のあるステロイドは、現在でも使用を不安に思う人がほとんどで、妊娠中のママともなると赤ちゃんへの影響も心配になります。

そこで今回は、

・ステロイドを妊婦さんは使用して良いの?
・ステロイドはどんな薬か知りたい
・ステロイドの種類を知りたい

といった方に、妊娠中のステロイドの使用について詳しくご説明します。

ステロイドとは?

ステロイドとは、人間の体内にある腎臓、その上あたりある副腎と呼ばれる臓器から作られる副腎皮質ホルモンの1つのことです。

それを人工的に薬としたものがステロイド配合薬で、一般的に知られている塗り薬や内服薬だけでなく、注射や点鼻薬、点眼薬など種類は豊富にあります。

使用することで主に得られる効果は、体の免疫力の抑制、皮膚や体内の炎症を抑えるといった効果が挙げられます。

この効果からアトピー性皮膚炎の治療や、アレルギー反応を抑えるなどの働きも期待でき、妊娠中以外でも幅広く活躍している薬です。

ステロイドは危険なのか?

ステロイドの使用は危険、というフレーズはよく聞きますが、実際のところは妊婦さんが使用しても危険はないとされています。

理由としては、塗り薬として利用する場合、皮膚からステロイドが吸収されるにしても極少量で、胎児への影響はほぼ無いからです。

これは内服薬も同様で、種類にはよるものの1日20mgまでであれば胎児への影響はないとされています。

ただし、妊婦さんへの安全性がはっきりと確認されていないのも事実で、ステロイドを使用することによる胎児への悪影響が全くないとは限りません。

過去には、妊娠中のうさぎを用いたものでしたが、そのうさぎに7~18日間ステロイドを少量塗り続けたところ、口蓋裂や胎児の生存率が低下してしまったという報告もあります。

また、内服薬においては妊娠4~7週間の時期に服用することで、口蓋裂が胎児に生じる確率が3.35%高くなるという報告もあります。

使い方やママの体調にも左右されますが、ステロイドを使用する際には、正しく使うことが大切になります。

ステロイドの正しい使い方

ステロイドは医師から処方される場合でも使い方に注意するのが大前提です。即効性があり、効き目が強いためです。

特に妊婦さんの場合には赤ちゃんのことだけでなく、自分の身体も不安定な状態で、通常より肌も敏感になってしまっていますから、特に使用する際には気を付ける必要があります。

使い方さえ守れば腫れや痒みなど、さまざまな肌トラブルを抑えてくれる薬です。

次にステロイドの使い方について紹介しますが、あくまで一般的にいわれている使用方法なので、医師や薬局で説明を受ける場合には医師や薬剤師の指示に従って使用するようにしましょう。

使用量・期間を守る

ステロイドを処方される場合、医師の指示にもよりますが使用量・使用期間が決められている場合がほとんどです。

塗り薬というと完治するまで塗り続けるイメージがあるかと思いますが、ステロイドの場合、その即効性などから短い期間に炎症を抑える目的として使用されます

例えば、皮膚の炎症などを治療する場合には、最初にステロイドを使用し、炎症が少しずつ改善されたところでステロイドよりも軽い薬に切り替えられ、様子を見ながら少しずつ薬の効果を軽くするという、非常にゆっくりしたペースで完治させていきます。

このペースはステロイドを塗る量を多くしたところで、効果が上がるわけではありません。そのため、症状の具合や個人差はあるものの、塗る期間や量は処方される際にしっかりと決められています。

たまに、ステロイドを使用していると、症状が医師に指示された期間より早めに症状が改善されてしまうことがあり、ステロイドの使用を自己判断で中止してしまう人がいますが、ただステロイドの効果で一時的に治ったにすぎず、完全に完治していない場合が多いです。

その分、ステロイドを使用する期間も伸びてしまうので、使用する際には、決められた使用量と期間を守るようにしましょう。

薬だけに頼らない

すぐに効いて肌トラブルを抑えてくれるステロイドですが、頼り過ぎるのは良くありません。

特に妊娠中の肌トラブルは、ホルモンバランスの乱れや不規則な日常生活、埃や合わない化粧品の刺激など何らかの原因があります。

ステロイドはあくまで、痒みや腫れなどを抑えてくれる対症療法であって、根本的な原因を解決する方法ではありませんから、自分に合った化粧品や保湿クリームを使用したり、睡眠をたっぷりとる、肌に良い栄養を積極的に摂取するなど、日常から肌を整える方法をステロイドの塗布と並行して行うことが大切です。

また、原因の改善を図るということは、体の調子を整えることにも繋がります。

いくら医師の指示に従って薬を使用していても、体調が優れない場合には副作用や症状が悪化してしまう可能性もありますから、母子の健康の為にも意識したいところです。

ステロイドの強さ

ステロイドにはさまざまな種類があるだけでなく、強さがあります。その強さは5段階に分けることができ、市販で販売されているステロイドを購入する場合には、正しく使うだけでなく、強さを確認することも大切です。

病院で処方される場合には、担当する医師が強さを考慮しているでしょうが、気になる人は次のステロイド外用剤のランクを参考に自分の使用しているステロイドのチェックを行ってみて下さい。

Ⅰ群 Strongest(ストロンゲスト:SG)

最強クラスの強さを持ち、原則として大人のみに使用され、連続使用も1週間が目安となっています。

使用例としては毛虫などによる腫れや湿疹など、刺激物に触れることで起こる接触性皮膚炎に用いられます。

ただし、身体に使用する場合には皮が厚くなっている手のひらや指、足裏などで、皮膚の薄い部分に使用されることはあまりありません。

種類としてはアステラス製薬のジフラール軟膏、ファイザーのダイアコート軟膏などが挙げられます。

Ⅱ群 Very Strong(ベリーストロング:VS)

Ⅰ群ほどではないものの、とても強い作用を持ち子供に使用する場合には一番強いクラスになります。

大人のみに処方されるⅠ群と同様に、子供へ使用する場合には指や足裏など皮膚の厚くなっている部分が多く、大人には少し炎症の強い症状がある場合に使用されます。

大人が連続で使用する場合にはⅠ群と同じく1週間が目安で、子供の場合には数回が限度になります。このクラスになると、田辺三菱製薬のマイザー軟膏や鳥居薬品のアンテベート軟膏など、他にも複数存在します。

Ⅲ群 Strong(ストロング:S)

強いと表記されていますが、これで体に普通に使えるクラスです。ステロイドの中でも強すぎず弱すぎないので、大人であれば2週間くらいを目安に連続使用することができます。

ただし、体に使える強さとはいえ、首より下に限定されるので選ぶ際には注意が必要です。

この強さのステロイドは、協和醗酵工業のプロパデルム軟膏、塩野義製薬のリンデロンVG軟膏などがあります。子供に使用するには、まだ強いレベルなので使う場合には1週間以内を目安にしましょう。

Ⅳ群 MediumもしくはMild(ミディアムもしくはマイルド:M)

このクラスになると作用も穏やかになってきます。そのため、顔など皮膚の薄い部分にも使用されることが多いです。

種類としては塩野義製薬のアルメタ軟膏、アルフレッサファーマのレダコート軟膏などが挙げられ、大人の使用であれば2週間を目安に連続使用することができます。

子供でも1~2週間が目安になり、赤ちゃんでも使用が可能になります。しかし、赤ちゃんは肌が弱いので使用する場合には更に短い期間の使用となります。

Ⅴ群 Weak(ウィーク:W)

作用が最も弱いクラスであり、ステロイドの市販薬で最も見かけるクラスになります。

ノバルティスファーマのオイラックスHクリームや塩野義製薬のプレドニン眼軟膏が挙げられますが、現在、ウィーククラスでのステロイドの単剤は作られていません。

つまり、ウィーククラスに該当するステロイドは全て配合剤です。しかし、ステロイドが配合されていることに変わりはないので連続で使用できても大人子供関係なく2週間が目安です。

それ以上の連続使用は弱くても使用しないのがベストです。

ステロイドの強さと吸収率

段階ごとの強さを知っておくと、市販でステロイドを購入された場合に、体のどの部分に塗ることができるか強さで判断することができます。

身体は皮膚の厚さなどにより吸収率に違いがあり、Ⅲ群の部分で触れたように、一般的に体より下に使用する場合にはStrongクラス、肌の赤みや湿疹などの炎症が酷いようであればVery Strongが使用されることもあります。

妊婦さんでも悩むことの多い、顔周りや陰部、首になってくると皮膚が薄くなるだけでなく、血流も良いためステロイドの吸収率も高くなりますので、Mediumクラス、酷い場合に限りStrongクラスが使用されます。

特に陰部の吸収率は高いので、更に低いWeekクラスが処方されることもあります。

最高クラスのStrongestにいたっては本当に効き目が強いので、よっぽど炎症が酷い場合でもない限り使用されることはあまりありません。

市販で購入された場合でも、短期間と使用を限定して下さい。強さに合わせて、上手くステロイドを使用しましょう。

どのクラスも2週間まで使っても症状が改善しない場合は、薬を変更する必要性や、別の原因の可能性が考えられますので、再受診をおすすめします。

考えられる副作用

しかし、症状に合わせた強さのステロイドを医師に指示された通りに使用していても、やはり副作用が身体に起きてしまう場合があります。

特に妊婦さんは、体調が不安定な時期である分、副作用のリスクは高くなります。

長期的に使用することがなければ起こる可能性は低いとされていますが、その場合には使用をすぐに中止し、落ち着かないようであれば皮膚科を受診するようにして下さい。考えられる副作用としては次の通りです。

皮膚の免疫力の低下

肌など身体にアレルギー反応が起きてしまうのは、免疫の過剰反応が原因とされています。

そのためにステロイドの免疫抑制は、アレルギーなどに良い効果を発揮してくれるわけですが、この免疫の抑制作用はアレルギーを抑えると同時に皮膚表面の免疫系の働きも低下させてしまいます。

妊婦さんの場合、赤ちゃんを異物と免疫が判断しないように、通常よりも免疫力が鈍くなっていますが、体調など身体の状態やステロイドが合わないと、塗った際に肌荒れなどの症状が悪化してしまう場合があります。

また、免疫が抑え込まれることで、にきびやヘルペスなど細菌の感染症になりやすくなるだけでなく、使用することで感染症の症状が酷くなる可能性もありますので、使用する際にはきちんと症状を判断することも重要です。

皮膚が薄くなる

この免疫や炎症を抑える効果は、肌の細胞増殖を抑えてしまう原因にもなります。

肌の細胞は皮膚を作ったりする役割も果たしていますが、ステロイドを使用することでこの役割が抑えられてしまい、塗った部分の肌が薄くなってしまう恐れがあります。

また、肌が薄くなるということは血管が浮きやすくなったり、シワなどの原因にもなります。

ママになっても肌を美しく保ちたいのが女心。この副作用は、症状に合った強さのステロイドで、量と使用期間を誤ってしまわなければリスクは低いですが、頬やひじ、指先、前胸など、塗る部分によって起こりやすい場合もありますから、使用する際には気を付けたいところです。

妊娠中であることを伝える

ステロイドの中でも、軟膏や点眼薬、点鼻薬、吸入薬などは吸収されにくく、妊婦さんが使用しても血液中に移行し赤ちゃんまで運ばれることはないとされています。

また、皮膚からであれば塗っても吸収されるのは微量であり、そこまで敏感になる必要はないようです。ただし、妊婦さんは身体が赤ちゃんを育てられるように、ホルモンバランスの変化や免疫力が低下しているなど、体調が大変不安定な状態です。

そのため、医師にステロイドを処方してもらう場合には、予め自分が妊娠していることを伝え、ステロイドに不安が残る場合にはきちんと相談をしましょう。

症状にもよりますが、弱い薬を処方してもらえることもあります。できれば病院へ行って欲しいですが、市販で購入される場合には大人の目安でステロイドを使用せず、子供へ塗るくらいの目安と期間で使用することが望ましいです。

基本的には自己判断をせず、薬剤師に妊娠中であることを伝え、購入する前に相談してみて下さいね。

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