卵巣嚢腫は気付きにくい

卵巣嚢腫は気付きにくい?症状や原因は?妊婦健診でわかる?



女性にとって恐れるべき病気のひとつに卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)があります。卵巣嚢腫は症状が出にくいというのが特徴で、気がついたときには非常に大きくなっていることが多く、中には卵巣嚢腫の根元が捻じれて壊死し、非常に重篤な状態になって初めて発見されるケースもあります。
そこで今回は、

・卵巣嚢腫はすぐ気付くことができる?
・卵巣嚢腫はどんな症状があるの?
・卵巣嚢腫にならないよう自分で気をつけることは?

といった方に、卵巣嚢腫の原因や卵巣嚢腫の種類、症状などについて詳しくご説明します。

卵巣嚢腫は症状が出にくい

卵巣嚢腫は症状が出にくい

卵巣嚢腫とは、卵巣に袋状の腫瘍ができ、その内部に液体成分がたまり、腫れている状態のことを指します。
「腫瘍」といえば卵巣がんを思い浮かべることが多いかもしれませんが、卵巣にできる腫瘍の9割以上は良性のもの。その中で一番多いタイプを卵巣嚢腫と呼び、症状が出にくい病気のひとつです。

卵巣は沈黙の臓器ともいわれており、卵巣炎などを除いて痛みそのものを強く感じることや、すぐに違和感を覚えることはほとんどありません。

とくに卵巣嚢腫は、嚢腫そのものがある程度大きくなってしまってから症状があらわれ始めるため、発見後すぐに手術になることがあります。少しでも症状を自覚した場合には、すぐに受診しましょう。

卵巣嚢腫の症状

卵巣嚢腫の症状

卵巣嚢腫はどのような症状があるのでしょう。卵巣嚢腫の症状4つをあげてみました。

腹部膨満感

卵巣嚢腫が大きくなると、周辺の腸管を圧迫するためお腹が張りやすくなります。
また、便秘になりやすくなるため、腹痛を生じることもあります。

嚢胞がさらに腫大すると、場合によっては胃のあたりまで圧迫することもあり、食後にも強い腹部膨満感が見られるようになります。

下腹部痛

大きくなった卵巣嚢腫では周辺の神経などを圧迫することで、頻繁に下腹部の痛みを感じることがあります。

卵巣嚢腫が片側だけできたときは下腹部の痛みも片側のみ、両側に嚢腫ができたケースになると下腹部全体が強く痛みます。

下腹部の痛みは人によって、さらには嚢腫の大きさによって差がありますが、なんとなく下腹部が重たいような痛みを感じるケースが多いです。

また、子宮内膜が卵巣内で増殖する「チョコレート嚢胞」と呼ばれるタイプの卵巣嚢腫では、月経時に強い下腹部痛が生じるのが特徴です。

便秘、頻尿

卵巣の腫瘍ができることによって腸や膀胱が臓器を圧迫され、便秘や頻尿に悩むママも少なくありません。

食事などで改善できないケースが多く、便秘改善に取り組んでいても、なかなか状況が変わらないのが特徴です。

腹部の腫れ、腹囲の急激な増加

体重には大きな変化がないにもかかわらず、腹部だけが大きく腫れているというケースや、ウエスト周りやお腹周りが極端に大きくなったというケースも卵巣嚢腫にある特徴的な症状です。

これまではスムーズに履けていたスカートやパンツなどが突然きつくなり、まったく履けなくなってしまうというケースもあります。

卵巣嚢腫が大きくなるにしたがって腹部が腫れることは、決して珍しいことではありません。

卵巣嚢腫の発見のタイミング

発見のタイミング

卵巣嚢腫を発見するのはどのようなタイミングなのでしょうか。

前述したような症状があらわれ、受診するのはもちろん大切ですが、症状が出てもさほど気にせず単なる生理痛と思ったり、少し様子をみるという人も多いため発見が遅れることも少なくありません。

卵巣嚢腫が発見されたあと、卵巣の中にどのような成分がたまっているのかを詳しく検査するため、精密検査をすることもあります。

異常を感じ受診する

もっとも多いのが、自分の体になんらかの異常を感じ受診をして、その場で卵巣嚢腫が発見されるケースです。

問診だけでなくエコー検査などを行いながら、卵巣の大きさを計測し、卵巣嚢腫になっているかどうかを確認します。

妊娠の検査で発覚する

妊娠すると必ず病院に出向くことになりますが、このときにいくつかの検査をします。当然ですがエコー検査や触診なども行い、さらにはそこで卵巣の大きさもチェックしますので、卵巣の腫瘍が発見されるケースもあります。

それまでは特に異常を感じていなくても、妊娠の検査で受診したら卵巣嚢腫が発見されたというケースも少なくありません。

定期健診で発見される

1年に1回程度子宮の検査を行っている方は、この定期健診で卵巣嚢腫が発見されることがります。

子宮がんや卵巣がんなどでは超音波で子宮や卵巣のチェックも行うことが多いため、卵巣嚢腫であることがわかります。

卵巣嚢腫の種類

卵巣嚢腫の種類

卵巣嚢腫には多くの種類があります。それぞれで特徴が違っていますので、以下でご紹介していきます。

漿液(しょうえき)性嚢腫

思春期を迎えた女性であれば特に年齢などを問わず、このタイプです。

漿液というのはさらさらした液体で、このさらさらの液体が卵巣内の袋状の腫瘍に蓄積してしまう症状です。

粘液性嚢腫

粘度の高いゼラチン状の液体が卵巣の袋の中に溜まってしまうタイプで、閉経後の女性に多くみられます。

また、中に蓄積されていく液体そのものも徐々に増えていくので、卵巣そのものが肥大してとても大きくなってしまいます。

卵巣の大きくなるスピードも比較的速いため、腹囲の急激な増加などがあれば、こちらを疑ってみましょう。

成熟嚢胞性奇形腫(皮様性嚢腫)

毛髪や歯などといった組織を含んだドロドロの液体が卵巣の中に溜まるタイプです。

片側だけでなく両方の卵巣に同時に溜まってしまうこともあり、20代から30代の女性に多いといわれます。

チョコレート嚢腫

チョコレート嚢腫は20代から30代の女性に多いといわれており、卵巣の中に子宮内膜症を発生してしまう症状です。

月経が起きるたびに血液が卵巣内に蓄積していきます。

卵巣内に溜まっている血液や子宮内膜などが、まるでチョコレートのような色をしていることから、チョコレート嚢腫といわれています。

月経時には強い痛みをが生じるのが特徴ですが、強い月経痛と勘違いされるケースも少なくありません。

卵巣嚢腫の原因は?

卵巣嚢腫の原因

卵巣嚢腫になってしまう原因は、複数の理由が考えられています。具体的にどんな原因が卵巣嚢腫を作ってしまうのでしょうか?

排卵回数の増加

近年では女性が一生の内に産む子供の数も減少しており、生涯子供を持たない選択をする女性も多くいます。このため、妊娠回数の減少によって排卵回数が増える傾向にあることが、卵巣嚢腫の原因とも考えられています。

排卵時は卵巣の外に成熟した卵子が飛び出しますが、その際に卵巣にダメージが加わるため、排卵回数が多くなると卵巣嚢腫になりやすくなるという考えもあるのです。

卵巣嚢腫の治療法

卵巣嚢腫の治療法

卵巣嚢腫が見つかった場合は、必ずしも卵巣を摘出する、または切除するといった方法ばかりではなく、しばらくの間は卵巣嚢腫が大きくならないか、様子を見るケースもあります。

また子宮内膜症などによって卵巣嚢腫ができてしまった場合には、子宮内膜症を改善するためのお薬が処方されることもあります。

腹腔鏡下摘出手術

卵巣嚢腫が腹部全体に広がるなど極端に大きくなっていない場合は、卵巣内に溜まっている液体や不要物などを取り除くことができます。

また、不要物を取り除くだけでなく内視鏡で卵巣内部を吸引するといった方法で行うこともあります。

開腹手術

卵巣嚢腫が腹部全体に広がっているケースや、腸や膀胱などといった臓器との癒着が起きているリスクが高いときには、開腹手術を行う場合もあります。

卵巣嚢腫はがんや軸捻転のリスクもある

がんや軸捻転のリスク

卵巣嚢腫はいくつかの治療法も存在しており、早期に発見できれば、比較的リスクの少い治療方法を選択できます。

しかし、卵巣嚢腫に気がつかないまま放置していると、卵巣がんになってしまうリスクやその付け根部分が捻れてしまう軸捻転を起こすリスクもあります。

軸捻転の痛み

特に軸部分の捻転を起こすと、とにかく耐え難い痛みに襲われるため、その場で動けなくなってしまうことがあります。これは、軸部分の血流がストップすることで壊死が生じるためです。

万が一1人でいるときにこのような症状が起きてしまったら、誰かに助けを求めることも難しくなります。

症状が出てきたときはもちろんですが、症状が複数該当する場合でなくとも、なんらかの異常を感じた時はまず受診してみるのが1番です。多くのケースでは緊急手術で卵巣を摘出する手術が行われます。

異常があれば遠慮せずに受診する

遠慮せずに受診

卵巣嚢腫は早期発見して経過観察や治療を続けていくことが大切です。
ですが、婦人科での検査が必要なため抵抗を感じる女性もいます。

しかし、女性であればなんらかの異常を感じたら、すぐにでも婦人科に行きましょう。妊娠したときや生理に異常が見られたときばかりではなく、下腹部に痛みを感じたり不正出血があったら積極的に診察に出向くことを心がけるのが一番です。

卵巣嚢腫は症状が出にくい病気です。おかしいなと思ったときにはすぐに検査をしましょう。早く発見すればするほど、がんや軸捻転などのリスクを軽減することができます。

特に若い女性の場合、卵巣がんになるとステージの進行も早いとされているため、悪性腫瘍になる前に、卵巣腫瘍を見つけ適切な治療をすることが大切です。

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監修:成田 亜希子(医師)

プロフィール:弘前大学卒業後、内科医として地域医療に従事。その傍ら、保健所勤務経験もあり、国立保健医療科学院での研修も積む。感染症や医療行政にも精通している。プライベートでは二児の母。

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