妊娠初期に、口の中に大量の唾液がたまるという症状があるのを知っていましたか?
このような症状が妊娠初期に出る人は少ないのですが、悩んでいる人もいます。
妊娠初期のつわりの症状のひとつで「よだれつわり」ともいわれています。
そこで今回は、
・妊娠初期によだれが止まらない!
・よだれつわりって何?
・よだれつわりの対策について知りたい!
といった方に、妊娠初期に口の中が唾液でいっぱいになったり、ねばねばする感覚が不快なよだれつわりの原因とその対策を調べてみました。
よだれつわりとは
つわりは妊娠初期に多くあらわれます。
つわりと聞くと、気分が悪くなって吐き気がしたり、胸がずっとムカムカしていたり、食べ物の匂いを嗅ぐと吐き気がするというようなものが一般的に広く知られています。
しかし、つわりの時期に、口の中に大量のよだれが出てくるという症状のつわりがあります。
病名としては「唾液過多症」といわれていますが、まさに通常よりも唾液が大量に出てくるというものです。
よだれつわりの症状は?
なんとなくいつもよりも口の中に唾液がたくさん出るという程度の人もいれば、どんどん唾液が分泌されて、飲み込むのも困難になるという人もいます。
いつもよりも少し分泌量が多いという人、食べ物を食べるときにたくさんの唾液が出てくる人、酸っぱいものを食べると唾液が大量に出てくる人、寝ている間にもたくさん出てくるので寝ながらよだれが出てきてしまう人などさまざまです。
唾液は口からの細菌の侵入を防いだり、食べたものを消化する助けをしたりするので、大量に出るようになっても特に害があるわけではありませんが、非常に個人差が大きいつわりです。
よだれつわりで吐き気にもある
よだれつわりのために、唾液の量が増えても、特にそれだけでは問題はありません。
ですが、唾液がたくさん出ることによってだんだん気分が悪くなって吐き気が出てきたり、通常は唾液に味や匂いを感じないはずですが、妊娠中で味などに敏感になっていて、自分の唾液の味や匂いや感触が気持ち悪くて吐き気を感じ、最終的に吐いてしまうということもあります。
よだれつわりはどうして起こるの?
妊娠初期からつわりに苦しむ妊婦さんは多くいます。
よだれつわりもつわりの症状の一種ですが、よだれつわりがどうして起こるのかという詳しいメカニズムはよくわかっていません。
妊娠することによってホルモンの分泌量が変化します。特に妊娠初期はプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が一気に増加します。
プロゲステロンが消化機能を下げてしまうことに対応して、消化機能がある唾液が増えるのではないかという説があります。
また、一般的な唾液過多症というのは、副腎皮質ホルモンの増加が原因とされています。
副腎皮質ホルモンはセロトニンが減少することで増加してくるので、よだれつわりの原因としてセロトニンの不足が考えられます。
よだれつわりはいつまで続く?
どんな症状でもつわりはつらいものです。
毎日、体調が悪い日が続くと、いつまでこの日々が続くのだろうと気分が暗くなってしまいます。
一般的につわりが起こる時期は妊娠5週あたりから、胎盤ができ上がって妊娠安定期といわれる妊娠16週あたりに終わるという人が多いのですが、つわりの時期は個人差が大きいので、確実ではありません。
妊娠超初期からつわりを感じる人もいれば、出産の直前までその症状に苦しむ人もいます。
よだれつわりの症状も強弱があり、安定期に入ったら症状がなくなったという人もいれば、安定期に入ったら、吐き気はなくなっても唾液は出ているという人もいます。
少し唾液が多いくらいならば我慢できますので、あまり深刻に考えないようにすることも大切です。
よだれつわりの対策は?
それでは、よだれつわりがツラいときの対策についてご紹介します。
洗面器を近くに置いておく
つわりの時期に自宅で過ごすことができるならば、常に洗面器などをそばに置いておくと、いつでも唾液を吐き出せるので安心です。
飲み込めないほどの量の唾液が出たり、飲み込むと気持ちが悪いという場合は、どんどん洗面器に唾液を出してしまった方が楽になります。
また、タオルやティッシュなどを常に手に持っていると、口から出た唾液をふき取れます。
タオルやティッシュだとすぐに取り替えられるので、衛生的でもあります。
外出先などではペットボトルなどを用意して、すぐに唾液を出したい時に出せるようにしておくと気分が楽です。
ビタミンB6を含む食品を食べる
唾液過多症の原因の一説には、幸せホルモンであるセロトニンの不足であるというものもあります。
セロトニンの分泌不足は、ビタミンB6の摂取不足が原因である場合があるので、ビタミンB6を意識的に摂取するようにしましょう。
つわりの時期でなかなか食欲がないという人もいますが、できるだけ自然の食品から摂取する方がおすすめです。
ビタミンB6を多く含むものに肉や魚類があります。
マグロ、さんま、いわし、さけ、かつお、レバー、鶏のささみなどを食べましょう。
また、にんにくもビタミンB6をたくさん含んだ食品です。吐き気などでなかなか食べられないという人は、ビタミンB6のサプリメントなどで栄養補給をすることをおすすめします。
アメやガムなどで気分を紛らわせる
よだれつわりは、自分の唾液であるのに酷い味を感じたりして、飲み込むことができないという人もいます。
そのような人は、少しでも気分を紛らわせるために、アメやガムなどを食べて唾液の気持ち悪さをカムフラージュするのもアリです。
つわりで気分が悪くてもアメならば食べられるという人います。甘い味も良いですし、爽やかなミント系の味も気分がすっきりします。
菓子類は糖分の摂りすぎなど気になる点もありますが、よだれつわりで苦しんでいることも辛いので、食べすぎに注意しながら、アメやガムで気分を紛らわせましょう。
いろいろな味を試してみて、自分にあったものを探してみましょう。
酸っぱいものを食べる
酸っぱいものを食べると唾液がたくさん出てきそうですが、お酢やビネガー味のポテトチップスや、クラッカーなどを食べると唾液が気にならなくなります。
あまり刺激が強いお酢などは気分が悪くなるので、ある程度水で薄めたりして飲みやすくすることが大切です。
また、最近はお酢でもいろいろな味の付いた美味しいお酢が販売されています。
お酢は体にも良いですし、口の中もすっきりします。唾液も気にならなくなるのでおすすめです。
柑橘系の匂いを嗅ぐ
つわりの時期に、無償にレモンが食べたくなったという人が多いという印象がありますが、レモンやみかん、オレンジ、ライムなどの柑橘系の果物の匂いは爽やかで気分が良くなります。
アロマオイルなどで、柑橘系の匂いのものを部屋全体に爽やかな匂いをつけたり、枕に柑橘系のオイルを数的垂らしたティッシュをおいておくだけでも気分がすっきりします。
ただし、妊婦さんは使ってはいけないアロマオイルもあるので、妊娠中のアロマオイル!使ってもいいアロマと危険なアロマの記事を参考にして使いましょう。
歯を磨いたりうがいをする
口の中に唾液がたまって気持ち悪い時は、歯磨きをしたり、うがいをすると気分がすっきりします。
歯磨き粉やマウスウォッシュなどを利用するとより口の中がすっきりします。
口の中のねばねばした感覚も緩和されます。水で口の中をゆすぐだけでもすっきりしますので試してみましょう。
ツボを押してみる
吐き気や二日酔いによる胸やけ、胃もたれなど消化器系全般に効くツボに「内関」というツボがあります。
内関は内側の手首の手との境目の線から、肩の方に向かって指で2~3本のところにあるツボです。
よだれつわりで気分が悪いときなどに、自分で少し強めに刺激してみると吐き気などが緩和されます。
漢方薬を飲んでみる
漢方は妊婦さんが服用しても副作用が少ない薬ですので、安心して飲むことができます。
漢方薬の中に、「益智(やくち)」「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」という薬があります。
これらは、消化促進、吐き気止め、唾液抑制などの効果があるとされています。
漢方薬はその人の症状に対して、いろいろな薬を組み合わせて処方してくれるので、漢方薬専門の店や外来で、妊娠による唾液過多であることを相談してみましょう。
鍼灸療法
東洋医学の鍼灸療法で、唾液分泌を抑えることができます。専門の鍼灸師がいる医院に相談して施術を受けてみる方法もあります。
規則正しい生活をする
つわりの時期は何もする気が起きませんし、気分が落ち込んでいることも多いでしょうが、体内時計を狂わせないようにしっかり休息したり、睡眠をとるように心がけましょう。
ずっと寝ているからといって、夜中などに起きていたり、昼間にずっと眠っていると体内時計が狂います。
体内時計が狂うと自律神経が乱れます。自律神経が乱れると体調が崩れ、よだれつわりも悪化します。
規則正しい時間に起きて、いつもの時間に眠ることが大切です。
静かで落ち着ける部屋にする
よだれつわりで気分が悪いと家の仕事もなかなかできません。
リビングでちょっと横になるというのも良いですが、気分が悪いときはできるだけ静かな部屋でしっかり休息するのも大切です。
子どもの声などが聞こえてくると気になりますし、ゆっくり休むことができません。
部屋を閉め切って静かにして、少し暗くして横になっていると気分が楽になってきます。
よだれつわりの妊婦さんは脱水症状に注意!
よだれつわりでどんどん唾液が出てきてしまうという人は、脱水症状にならないように注意が必要です。
特に、唾液を全部吐き出している人は、しっかり水分補給をしておかないと脱水症状になりやすいので注意しましょう。
つわりの時期ですから、自分が飲むことができる水分で十分ですが、ミネラルウォーターを飲み続けると血液の浸透圧が低下して、嘔吐などの症状が酷くなることがあるので、水を飲むよりも、スポーツドリンクや経口補水液などで体内の水分を補給しましょう。
無理せずに病院に行くこと
唾液がいつもよりもたくさん出るというだけで、たいしたことがないと思っていても、あまり過剰に唾液が出たり、気分が悪くなるとゆっくりすることができません。
辛くなったらまずかかりつけの医師に相談してみましょう。あまりにもひどい場合は、つわりでの吐き気を緩和する薬が出たり、点滴などの治療もできます。
あまり深刻にならないこと
つわりは、ほとんどの人がある一定時期を過ぎると、その症状はウソのように改善します。
よだれつわりの人も突然治ることが多いので、あまり深刻にならないことが大切です。
できるだけに日常通りに過ごして、気分を他の楽しいことで紛らわせることも大切です。
自宅に1人でいると唾液がいつもより多かったり、気分がすっきりしないと落ち込んでしまうので外に出たり、楽しいことをすることも大切です。
よだれだけでなく鼻水が増える人もいる
よだれつわりの時期に鼻水が多くなるという人もいます。
よだれつわりや、つわりによる鼻水の特徴は、サラサラで透明であることです。
妊娠することで女性ホルモンの分泌量が変わったり、バランスが崩れることが原因であることが多いのですが、妊娠性鼻炎といわれることもあります。
鼻水が多いと、花粉症のように鼻が刺激されて炎症を起こすこともありますので、部屋の加湿をしたり、蒸しタオルを鼻に当てたり、お風呂に入るなどすると効果があります。
鼻水が増えるという人も、脱水症状には気をつけて水分をしっかり補給するようにしましょう。
まとめ
よだれつわりは、妊娠初期のつわりの時期に起こることが多い妊娠初期の症状です。
いつもよりも唾液が多くなったなと感じる程度の人もいますし、飲み込む量としては困難なほど唾液の分泌がある人もいます。
また、唾液の分泌により気分が悪くなったり、吐いてしまう人もいます。
つわりの症状の1つなので、安定期に入ると徐々に症状がなくなったという人がほとんどですが、ずっとその症状が続いて出産まで続く人もいます。
よだれつわりになってしまったら、とにかくあまり気にせずに、飲み込めない唾液は気分がすっきりするまで吐き出すことです。
そのため、自宅などでも常に洗面器などを近くに常備しておきましょう。
気分が悪くなったりするのを緩和するために、ガムやアメ、酸っぱいものを食べたり、歯を磨いたり、うがいをして口の中を常にすっきりさせましょう。
また、あまり我慢せずに漢方医や鍼灸師などに相談するのも良い方法です。かかりつけの医師に相談すると吐き気止めやつわりの点滴をしてくれることもあるので、気軽に相談しましょう。