出産の瞬間って?初産を乗り越えるために知っておきたいこと

出産の瞬間って?初産を乗り越えるために知っておきたいこと



出産を経験すれば、人生大半のことは乗り越えられるといわれるほど、出産は生涯を通して貴重な経験の一つです。耐え難いほどの痛みや、苦しみを味わったという声もよく耳にします。

初めて出産する方にとっては、経験者から聞くお産の痛みを想像しただけで、不安で怖くなっているママも多いのではないでしょうか。

そこで今回は、

・初産だから出産が怖い!どれくらい痛いの?
・陣痛に気づかなかったらどうしよう・・・
・陣痛から出産までどれくらいの時間がかかるの?

といった方に、陣痛はいつ来るのか出産の瞬間にはどのくらいの痛みが伴うのかなど詳しくご説明します。

出産時に痛いのは陣痛と産道や会陰部の傷

出産時に痛いのは陣痛と分娩

出産の際、痛みは主に「陣痛」と「産道や会陰の裂傷」の2種類です。

陣痛時の痛みは、赤ちゃんが子宮から押し出されるために生じる、子宮の収縮によるものです。

この収縮運動ですが、はじめはごく弱く不規則な間隔で起こり、徐々に強まっていき、少しずつ規則的な痛みに変わります。陣痛から出産までにかかる時間は、個人によって差があるため陣痛の痛みを長く体験する人もいます。

一方、産道や会陰の裂傷による痛みは、赤ちゃんが産道を通って膣口から出てくるときに発生する、つまり産まれる瞬間の膣の痛みです。これらが一度にやってくるので、妊婦さんが体験する痛みは非常に大きいのです。

なぜ陣痛は起こるのか?

出産時に陣痛が起こるメカニズムは、まだはっきりと解明されていません。出産が間近になると、赤ちゃんは産まれるために子宮内から産道に下りてこようとします。

そうすると子宮収縮を促すホルモンである「オキシトシン」が分泌されて、陣痛が起こるとされています。

または、赤ちゃん自身が発する脳内ホルモンによって、陣痛が始まるという説もあります。

いずれの説をとっても、赤ちゃんが自分で産まれるタイミングを、知らせていると考えられています。

陣痛はきたらわかる?

妊婦さんが臨月に入ると、医師からは「陣痛が始まったら痛みの間隔を計り、その痛みが10分間隔になったら病院に連絡してください」と言われることが多いです。

医師は、赤ちゃんが出てくる間近の「本陣痛」になったかを知りたいため、このような指示を出します。本陣痛の前には「前駆陣痛」という「そろそろ本陣痛が始まるよ」というサインがあり、徐々に体調が変化していきます。

初めての出産では、もしかしたら陣痛に気がつかないのでは・・・と心配になる方もいますが、徐々に痛みが強まり、その痛みがきたり収まったり繰り返して、間隔が規則的になるので、陣痛の特徴を知っていればまず分からないことはないでしょう。

陣痛の痛みは?どんな痛みがくる?

陣痛の痛みを体験した人からは

「普段の生理痛を1,000倍痛くしたもの」
「ダンプカーにお腹の上を何度も往復されているような痛み」
「ボクサーに何十時間もお腹を殴られているような激しい痛み」

など、痛みに対するたとえ方はさまざまですが、この体験談からも相当痛いということは想像できます。また陣痛の初期には、下痢の腹痛に似ていると感じる人が多いです。

下痢の腹痛といえば、お腹にぎゅっとした痛みがあり、便を我慢できないお腹の中からの圧迫感を伴う痛みです。

このような痛みは、軽度な子宮収縮によるものです。

陣痛は少しずつ痛みが強まっていくので、初期では陣痛なのか下痢による腹痛なのかが、わからなかったという妊婦さんもいます。

陣痛時には、下痢のような痛みや実際に下痢症状が起こることがあると理解しておき、臨月に入ったときには単なる腹痛症状だと判断しないことが大切です。

陣痛はお腹の痛みだけではない

陣痛の痛みはお腹に生じると思いがちですが、実はそれだけではありません。腹部以外にも痛みを伴うことがあります。産まれる瞬間が近づくと、狭い骨盤内を通って赤ちゃんを押し出す準備が始まります。

骨盤が少しずつ開いていきますので、腰や骨盤周り、背骨、脚の骨などに痛みを感じることがあります。陣痛の感じ方には個人差があるので、場合によっては腹部よりも、この骨盤が開いていく痛みを強く感じる人もいます。

腹部より先に腰回りに痛みを感じる人などさまざまです。骨盤が開いていくと、重くだるい感覚がし始め、その後メリメリと腰をこじ開けるような痛みを感じます。

もし陣痛がどうか混乱するようなことがあれば、腰回りの痛みも併せて判断しましょう。

前駆陣痛は本陣痛の予行練習

前駆陣痛は本陣痛の予行練習

これから本陣痛が起こるサインとして、まずは前駆陣痛が始まります。前駆陣痛は、子宮頸管や子宮口を柔らかく開くための準備段階と考えられています。

本陣痛と比較すると、それほど強い痛みではなく「強めの生理痛」くらいの痛みです。痛む間隔も規則的ではないため、我慢できない痛みではありません。

この段階ではまだ痛みにバラツキがあり、妊婦さんが体の向きや体勢を変えることで痛みが収まることもあります。そのため、前駆陣痛の初期はいつもと変わらず、会話をしたり歩いたりする余裕もあります。

次第に痛みが強くなってくると、陣痛のピーク時には休む余裕などなくなりますので、この段階ではできるだけリラックスしておき、これから来る本陣痛の心構えをしておきましょう。

前駆陣痛から本陣痛へはどのくらいで移行する?

前駆陣痛が始まった後、すぐ本陣痛が起こり出産に向かう妊婦さんもいれば、前駆陣痛が始まってから本陣痛になるまでに何日もかかる妊婦さんもいます。

前駆陣痛では痛みの間隔が長かったり短かったりと安定せず、10秒〜20秒程度で痛みが引い行くことが多いです。本陣痛に移行した後も、多くは20秒程度の短い痛みから始まるので、前駆陣痛から本陣痛に移行したかはわかりにという妊婦さんもいるでしょう。

特に初産では、陣痛自体が初めてのことなので、前駆陣痛と本陣痛の違いは分かりにくいです。陣痛が来たと思っても、しばらくは様子を見て、痛みの長さや間隔をメモしておくようにします。

自分では本陣痛だと思っても、子宮口が開いておらず病院に行ったのに、一度帰されたということは良くある話です。

本陣痛では、痛みの時間が次第に長くなっていき、子宮口が半開になる頃には、30秒~60秒の陣痛が5分間隔程度でやってきます。

その後、さらに痛みの時間が長くなっていき、痛みがピークを迎える頃には、60秒程度の長い痛みが1~3分おきにやってきます。あくまで一般的な陣痛間隔なので、人によっては痛みが弱く、子宮が収縮する時間が短いケースもあります。

ですが、産院ではきちんと子宮収縮を計測しながら、お産の進行具合を見ているので、認識していた陣痛間隔と違うときには、不安を感じるかもしれませんが、医師の指示に従いましょう。

いよいよ赤ちゃんが産まれるという瞬間には、60~90秒の陣痛が1分程度の短い間隔でやってきます。

本陣痛の痛みは出産の「どの段階か」によって異なる

本陣痛に入ると痛みの間隔が、だんだんと短くなっていきます。それに伴う痛みは、出産のどの段階なのかによって違ってきます。

赤ちゃんが子宮口近くまで徐々に下がってくると、腹部や腰回りの痛みが強まり、痛みが全身へと広がっていきます。そのとき、背中が痛くなったり、腰からお尻全体が痛くなることもあります。

子宮口が全開に近づき、赤ちゃんが出てくる準備が全て整うという段階で、全身に広がっていた痛みが下半身へ集中した痛みへと変わることが多いです。

このときには、股が裂けるような痛みや脚がしびれるような痛みが出る人もいます。また、痛みとは異なりますが陣痛がピークになると、その時点でいきんで早く赤ちゃんを出したくなります。

ところが、子宮口が完全に開いていない状態では、まだ娩出するタイミングではないため、医師が許可するまでいきまないように、耐えなくてはならないのです。

いきみたくてもいきめない、赤ちゃんを早く出してしまいたい感覚を、我慢しなくてはいけないことが、辛いという妊婦さんも大勢います。

子宮口が全開し、いきめる時期がきたら、ようやく赤ちゃんを押し出すことができます。それまでは、いきまないように耐えてきていることもあり、赤ちゃんを押し出す瞬間そのときには、それほど痛いと感じない妊婦さんも多いです。

しかし、娩出(べんしゅつ)の瞬間は「鼻からスイカを出すような痛み」とたとえる人がいるように、産道や会陰部などが裂ければ強い痛みを感じることもあります。

それでも、陣痛期間が長かった人や娩出までの時間に苦しんだ人は、「ようやく産める」という気持ちの方が大きいかもしれません。

あくまで、一般的な痛みの感じ方や体験をご紹介しているので、痛みに強い妊婦さんもいればそうでない人もいます。赤ちゃんの大きさや妊婦さんの体型・体質などによって、感じる痛みや痛む場所も異なってきます。

陣痛が来てか、ら30分ほどで産んでしまう人もいれば、数週間前から前駆陣痛が始まり、本陣痛になるまで数日かかる人もいます。

娩出に数時間の人もいれば10時間以上痛みと奮闘しながらの出産もあります。聞いていた話と違うと思っても、不安に思う必要はありませんので、落ち着いて医師や助産師の指示に従って出産に臨みましょう。

出産の具体的な流れは?

出産の具体的な流れは

まずは陣痛が起こってからのことになります。臨月なので多くの方は自宅で安静にしている状態かと思いますが、前駆陣痛後に痛みを感じる間隔が短く規則的になってきたら、産院へ向かいます。

入院には何が必要となるのか、あらかじめ確認しておきましょう。入院準備用品と新生児用品チェックリストにて入院準備に必要なものをチェックしてみて下さい。分娩の段階はそれぞれのステージによって分かれます。

分娩第一期

開口期とも呼ばれる分娩第一期とは、本陣痛が始まってから子宮口が全開になるまでの時期をいいます。一般的に子宮口が全開するまでには、初産婦で10時間以上、経産婦で4~6時間程度かかります。

分娩第一期は、潜伏期と活動期の二つの期があり、それぞれのステージで、痛みの大きさや間隔に違いがあります。

潜伏期

潜伏期とは、赤ちゃんが子宮口から出てこれるよう、子宮口が拡大していくための分娩初期の段階です。このとき子宮口はだいたい3~4cm程度開いています。陣痛は5~10分の間隔で、30~60秒程痛みが続きます。

痛みの間隔は規則的ですが、体勢を変えるなどすると痛みが治まることもあり、全く動けないということもありません。この段階ではまだ余裕のある方が多く、人によっては会話なども通常通り行える状態です。

活動期

活動期では子宮口が4~10cmまで一気に拡大します。痛みも強くなるため、妊婦さんは痛みのために余裕がなくなることが多いです。

赤ちゃんが骨盤の方へ下がってくるため、腰回りや股が避けるような痛みが出ます。子宮口が全開になるまで、医師や助産師のGOサインが出るまで、いきみを我慢しなくてはなりません。

分娩第二期

分娩第二期は、娩出期です。娩出期とは、子宮口が全開大になってから、赤ちゃんが娩出されるまでの期間を指します。この頃は60~90秒の痛みが30~90秒間隔でおきます。陣痛のピークです。

娩出期にかかる時間は、初産婦で1時間以上かかることもあり、経産婦の場合はそれよりも短い時間であることが多いです。指示が出て、ようやくいきんでも良い頃となります。赤ちゃんは産道を旋回しながら下降してきます。

子宮の収縮とタイミングをあわせていきみ、赤ちゃんを押し出します。このとき医師や助産師がリードしてくれるので、妊婦さんは必死でしょうが、しっかりとアドバイスを聞きましょう。

膣から赤ちゃんの頭が出てきたら、一度力を抜くように指示され、その後赤ちゃんはもう一旋回し、肩、胴、の順番でゆっくり娩出していきます。全身が出たところで娩出期が終わります。

娩出の瞬間には会陰部分の損傷を軽減するために、あえて会陰切開をすることがあります。しかし、麻酔をしなくても多くの方が切開の痛みはあまり感じません。

分娩第三期

分娩第三期は、赤ちゃんを娩出してから胎盤が出るまでの期間で、後産期といいます。娩出後、子宮の収縮が一度収まってから再び強い収縮が起こります。

そのとき胎盤を外へ押し出すのですが、通常は胎盤を排出までには数分から30分程度と、比較的時間はかかりません。胎盤娩出でも痛みはあるはずなのですが、痛みを感じないか軽い痛み程度と感じる人がほとんどです。

それまでの出産の経緯を思えば、胎盤を出すくらいでは動じないということでしょうか。安堵と解放感もあるので、そのためかもしれません。

分娩第四期

娩出が全て終了した後の時間が分娩第四期です。赤ちゃんを出産した後2時間程度は、産道の裂傷や子宮の弛緩によって、異常出血の危険性があるので、出産時の傷の縫合や洗浄が終わった後、約2時間ほど安静にするよう指示されます。

子宮収縮状態や出血状況について、異常を感じることがあればすぐにナースコールをしましょう。

陣痛が来ても落ち着いて

出産には痛みが伴うとわかっていても、初めての経験であればやはり不安があります。ですが、陣痛もはじめから大きな痛みがやってくるわけではありません。

出産のステージが進むにつれて徐々に痛みが強くなってくるので、痛いことに慣れてもきます。痛いからといってパニックになってしまうのではなく、落ち着いて冷静になることが大事です。

できるだけリラックスできるように、呼吸法なども取り入れて痛みを乗り切りましょう。

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監修:成田 亜希子(医師)

プロフィール:弘前大学卒業後、内科医として地域医療に従事。その傍ら、保健所勤務経験もあり、国立保健医療科学院での研修も積む。感染症や医療行政にも精通している。プライベートでは二児の母。

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