妊娠中期の中絶とは?中期中絶にかかる費用やリスクについて

妊娠中期の中絶とは?中期中絶にかかる費用やリスクについて




赤ちゃんがどんどん成長する妊娠中期の中絶は、母体にもかなりの負担がかかります。この時期の中絶は止むを得ないことが多いですが、なるべくであれば避けたいことです。

なにかしらの事情でどうしても中絶することになった場合、どのような流れになるのでしょうか。

そこで今回は、

・妊娠中期の中絶は初期の中絶とどう違うの?
・中期中絶の方法は?
・中期中絶の費用は?

といった方に、中絶にかかる費用やリスク、注意点などを詳しくご説明します。つらい内容もあるかもしれませんが、いざというときの参考にしてください。

妊娠中期の中絶とは

妊娠中期の中絶とは

日本では、1日あたり平均900件、年間30万件以上も中絶が行われています。中絶する人の数がこれだけ多いのには、男性・女性両方の、避妊に対する意識の低さが大きくあらわれています。

特に10代、20代の若い人ほど「避妊しなくても妊娠しないだろう」という慢心があり、赤ちゃんができてから悩むことになります。

中絶を終えた女性の多くが、空虚感や罪悪感、悲嘆、不安、相手との関係性についてなどを誰かに相談したいと思う気持ちと、中絶をしたという後ろめたさから話したくない気持ちの両面を抱え、孤独に悩まれている人も少なくありません。

しかし、このつらさから逃れるために、安易に出産を選択するのもまた問題となります。経済力がないのにもかかわらず出産をしてしまったら、その子はどうなるでしょう。

親が子供を育てきれず、児童施設に入るしかない子も後を絶ちません。

本来であれば、妊娠したら、出産して子供を育てるのが普通のことです。しかし、何らかの理由で育児をすることが不可能である場合は、中絶することも選択肢の一つなのかもしれません。

中絶を経験した女性は立ち直るために、多くの時間を必要とします。妊娠を望まないのであれば、避妊は最低限とるべき行動です。

中絶可能な時期

妊娠中期の中絶は、初期以降の13週0日から21週6日までの期間が該当します。しかし、初期の中絶とは違い、中期中絶は赤ちゃんを死産させることになります

赤ちゃんがすでに子宮の中で育っているため、初期のような掻爬(そうは)術や吸引術は使えません。

臨月の分娩と変わらず、妊婦さんが出産する形で赤ちゃんを子宮外に出し、死産証書を役場に提出、亡くなった方と同じように手続きが必要です。

中絶する際には、初期中絶同様、基本的には中絶同意書が必要になります。

中絶同意書

中絶手術をする際には、本人及び配偶者の同意が必要と母子保護法の中で規定されており、相手の同意書(署名・捺印)が必要になります。

ただし、「配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなったときには本人の同意だけで足りる。」とありますので、この場合にのみ、本人の同意だけでも中絶を行う事が可能になります。

初期中絶との違い

初期中絶とは違い、中期中絶は産婦人科のある医療機関であれば、どこでも人工妊娠中絶手術が受けられるというわけではありません。

人工妊娠中絶手術は、母体保護法指定医師、つまり、特別な認可を受けた専門の指定医の元でしか許可されていません。

そのため、妊娠に気づいたときにはもう13週に入っていて、手術ができる病院を探している間に妊娠週が進んでしまい、中絶可能な21週6日までの期間を過ぎてしまった・・・ということも多いにあり得るのです。

そうなれば、この手術可能な期間を過ぎての中絶は法律上できませんので、赤ちゃんは出産する以外に方法はない、ということになります。

中期中絶は「人工死産」

中期中絶は正式には「人工死産」といいます。流産や死産などの「不可抗力」ではなく、胎内で生きている赤ちゃんを、母親自身が決断し、死産させることが人工死産です。

中絶理由は、望まない妊娠の場合もあるかもしれませんが、お腹にいる赤ちゃんの異常を聞かされ、生命を諦めなくてはいけないかもしれないということもあります。

法律で認められている中絶理由は以下の2点です。

1)妊娠の継続や分娩が身体的、経済的な理由で母体の健康を損なう恐れがある場合。
2)暴行や脅迫によって、またはレイプされて妊娠した場合。

ですので、希望をすれば誰でも中絶できるわけではないのです。分娩とほぼ同じ方法で、赤ちゃんはお腹の中で育っていますので、死産届を区役所に出す必要もあります。

その後、埋葬許可をもらって赤ちゃんを火葬し、最後は霊園におさめる手続きもあります。戸籍には残りませんが、さまざまな事務手続きが必要になります。

産むか産まないかの判断を含めて、生理が遅れているなと思ったら、とにかくまずは早めに診察を受けましょう。中絶可能な期間を過ぎることで、選択肢は一つしかなくなります。

中期中絶の方法

中期中絶の方法

妊娠12週目~21週目までの手術となるので、初期中絶と違い、かなり大がかりな手術になります。 手術は、人工的に陣痛をおこし出産をさせる形をとるため、回復の時期も考え最低3日間は入院が必要になります。

中絶の流れは以下の通りです。

1)婦人科で診察を受けた後に以下の検査を受けます。

・血液検査
・心電図検査
・尿検査
・血液の固まりやすさを調べる血液凝固検査

この検査で問題がなければ、手術日が決定します。

2)赤ちゃんが大きくなっているため、手術1~2日前からラミナリアという子宮口に細い棒のようなものを子宮口に入れて広げます。

赤ちゃんの大きさにもよりますが、初めは5~7本挿入し、その後10~15本挿入して赤ちゃんが出てこられるよう、充分に子宮を広げます。

3)手術当日に、陣痛誘発剤などの投与によって人工的、強制的に陣痛を誘発させて流産させる方法を取ります。同時に、胎盤やその他の子宮内容物の除去を行います。

中期中絶の場合、手術前は外来通院して、子宮の戻り具合を観察するため、手術当日から2~3日入院することも多いです。

入院期間については病院によっても異なるので注意しましょう。入院をお願いする病院もありますが、麻酔をかける無痛中絶手術を行っている病院もあります。

その場合、日帰り手術で終了することもありますが、通常2〜3日かけて行う手術で、母体への負担が大きいことを考えると、日帰り手術よりも入院した方が体への負荷は少なくなります。

中絶手術時の痛み

中絶手術時の痛み

産道を広げるために子宮口に使用する「ラミナリア」という棒は海草で作った長さ5cmほどのエンピツのようなものです。

太さはいろいろありますが、このラミナリアを何本か入れて子宮口を広げていきます。ラミナリアは水分を吸って太くなるもので、時間をかけてゆっくりと子宮口を広げていくのですが、子宮口というのは通常、指1本も通らないところです。

その子宮口を強制的に開こうとしているので鈍い持続する痛みがあります。また、出産経験のない人の子宮口は固く、広がるのにも時間がかかります。

その後、人工的に陣痛を起こして出産に近い形がとられるため、ラミナリアを投入してから術後数日までは、激しい痛みや出血を伴うことが多くなります。

入院する場合では、夜眠る前にラミナリアを入れ替えて、広がった子宮口に新しいものを入れ、夜の間にさらに広げておきます。飲食はこの晩寝る前までになり、後は処置が終わるまで、絶飲食となります。

痛みの個人差はあるかと思いますが、妊娠週が進んで赤ちゃんが育っている人ほど、体も心も痛む人が多いです。肉体的にもきついですが、精神的なつらさがあることは忘れてはなりません。

中期中絶が母体に及ぼす影響

中期中絶が母体に及ぼす影響

中期中絶の手術では他にも、「子宮頸管裂傷」や「子宮破裂」、「子宮の収縮不全による多量出血」や「子宮内感染」といったリスクも考えられます。場合によっては緊急の輸血が必要になることもあります。

子宮頸管裂傷

子宮頸管裂傷とは、子宮頚管(子宮口)が切れて断裂することをいいます。胎児は子宮頚部を通過して、産道である膣を通過して生まれてきますが、初産婦さんの場合、子宮頚部は分娩開始前は指一本も入らないくらい閉じた状態になっています。

通常の自然分娩であれば、最終的に赤ちゃん頭の直径である約10センチまで子宮頚部は開くのですが、中期中絶はまだ赤ちゃんが育ちきっていない時期の出産のため、ラミナリアを使用します。

そして、この子宮頚管が切れて断裂することを子宮頚管裂傷といいます。 少しくらい切れたのでは出血もほとんどありませんが、出血が多ければ迅速な対応が必要となります。

急速に分娩が進行した場合などに裂傷することが多く、強制的に子宮口を開く中期中絶施術では、損傷しやすく危険は伴います。

子宮破裂

子宮破裂は、主に妊娠後半から分娩中に発生する子宮の裂傷のことです。

臨月での自然分娩では、3000分娩に一例くらいの非常にまれな疾患ではありますが、発生すると大量の出血を伴い突然に起こる大変危険な状態です。そのため超迅速な判断と対応がとても重要な疾患です。

帝王切開術での発生が多いですが、子宮筋腫核出術、人工妊娠中絶術などでも子宮に傷(瘢痕部)が存在すると発生要因となります。

子宮の収縮不全による多量出血

子宮弛緩出血ともいいます。子宮は赤ちゃんに栄養を送るために血流量がとても多くなっています。

通常の分娩後は、赤ちゃんが娩出された後、まもなくして胎盤も娩出されるので、空っぽになった子宮は急速に収縮し、胎盤の剥離面にむき出しとなっている小さな血管群を締め付けて、その後の出血を抑制してくれます。

ところが、分娩後に子宮が収縮してくれないと、血管の締め付けが起きずに胎盤の剥離面から大量の出血が続くことになります。

このように、子宮がちゃんと収縮してくれないことを「子宮弛緩症」といい、それに伴う500ml以上の大量出血のことを「子宮弛緩出血」といいます。

子宮内感染(子宮内膜炎)

子宮の内側にある子宮内膜という粘膜が炎症を起こす病気です。

子宮内膜は月経の度にはがれて体外に排出され、その後新しい子宮内膜が作られるというサイクルを繰り返すので、炎症が起きることはほとんどありませんが、何かのきっかけで子宮内に細菌が侵入して子宮内膜が炎症を起こすことがあります。

中絶後や分娩後は子宮頸管が開いているために、子宮内での細菌感染の可能性が高まります。産後は体の抵抗力が弱まっているうえ、子宮内に胎盤などが残っているので子宮内膜炎を発症することがあります。

原因は細菌感染で、淋菌や連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌、クラミジア、結核菌など、さまざまな菌が子宮内膜で炎症を引き起こします。

細菌は子宮の入口から侵入する場合がほとんどで、普通に生活していて子宮内に細菌が侵入することはごくまれなので、中絶手術の際で感染のリスクが高まります。

中期中絶によって不妊になる可能性は低い

中期中絶によって不妊になる可能性は低い

中期中絶の手術では、中絶したことで不妊になるのではないかと心配されることが多いですが、手術が適切に行われれば、妊娠しにくくなる可能性はあまりありません。

不妊になるとしたら、身体的な面ではなく、どちらかといえば精神面からのリスクが大きいです。中絶によるショックで、心に大きな傷を負ってしまい、中絶後遺症候群(PAS)になってしまう人もいます。

中絶後遺症候群になると、怒りが爆発するなどの過剰反応や、アルコールの乱用、自虐的行為に及んでしまったり、ひどいうつ状態や不眠が続くこともあり、次の妊娠に臨むという気持ち以前の問題になってしまします。

また、女性だけではなく男性でも「自分の責任である」と心に傷を負う人もいらっしゃるので、中絶によってパートナーが不全になってしまうというケースも見受けられます。

中絶は女性も男性も精神的にダメージが大きい出来事になるので、心のケアをしっかりとしていくことが重要です。

中期中絶にかかる費用

中期中絶にかかる費用

中期中絶手術は入院などで時間もかかりますが、費用も大きくかかってきます。中絶には保険が適用されないので、全額自己負担となり、妊娠週数やクリニックによっても費用は異なります。

中絶費用の目安としては、

8週目頃まで…12万円ぐらい
10週目頃まで…15万円ぐらい
12週目頃まで…18万円ぐらい
12週以降…30万円~50万円ぐらい

このほかにも、外来での診察代や検査代、薬代、死産届や火葬代、事務処理費用などが加算されます。万が一、中期中絶を考えているのであれば、最初の診察時の週数や赤ちゃんの大きさ、病院によって金額が変動することを覚えておき、必ず事前に確認するようにしましょう。

中期中絶、誰かに相談しましょう

中期中絶、誰かに相談しましょう

人工妊娠中絶手術は十分な検査と慎重な判断が必要となり、すぐに受けられるものではありません。

まずは望まない妊娠は避けるべきではありますが、中絶可能時期が迫り、どうしても急がなくてはならないときは、電話で相談しましょう。

合併症などのリスクも伴い、妊婦さんであるあなた自身も、苦しく痛い思いをして手術を受けることになるのです。

そして中絶後は精神的にもつらい時期が続きます。死亡届の提出や埋葬など、死産を経験することになるため、術後は、うつ状態や不眠など精神的に悩まされる人が本当に多いのです。

ですから、絶対に一人で悩まず、まずは病院を受診してお医者さんに相談するようにしてください。

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